JX金属、約300億円投じて茨城県日立市に2工場を新設

・半導体用スパッタリングターゲットと圧延銅箔の更なる能力を増強

 JX金属(東京都港区)は12月8日、今後の需要拡大が見込まれる半導体用スパッタリングターゲットおよび圧延銅箔の生産能力を増強すると発表した。これに伴い、茨城県日立市内に2工場を新設する。投資額は2工場あわせて約300億円を予定している。

 今回2工場が新設される日立市は、1905年の日立鉱山開業をルーツとするJX金属にとっての「創業の地」。1981年の日立鉱山の閉山以降も、リサイクルや電子材料といった新たな事業を展開する等、常に時代の要請に応え、その時々の最先端素材を同地から社会に供給し続けてきた。

 現在、デジタルトランスフォーメーションや脱炭素化に向けた動きの加速などにより、両製品の需要は大きく伸長しており、市場は今後も継続的かつ大幅に成長する見込み。JX金属はこれまでも両製品の生産能力増強を進めてきたが、足元急拡大する需要に機動的に対応するため、今回、更なる投資の実行を決定した。なお、日立市への工場新設に加えて他拠点での設備増強も計画しており、これらも含めた投資総額は480億円規模となる。

1.半導体用スパッタリングターゲット

 JX金属の半導体用スパッタリングターゲットは、先端半導体の微細配線材料に使用されている。JX金属は昨年12月、同製品の生産能力を2020年度比約30%増と発表したが、半導体産業の拡大が想定を超えて進む中、昨年発表内容から大幅に上積みし、総額320億円規模、2020年度比約80%増の能力増強を行う。その実行にあたって、既存拠点の強化に加えて、約140億円をかけて日立市の日立北部工業団地内に溶解・圧延工程を担う新工場を建設する。

2.圧延銅箔

 主にフレキシブルプリント基板に用いられるJX金属の圧延銅箔は、通信技術の進展やモバイル端末の高機能化により需要が増大している。JX金属は、高まる顧客ニーズに着実に応えるため、日立事業所内の白銀地区に総額160億円規模の新工場を設立する。これまで日立事業所では同製品の最終工程である表面処理を行っていたが、現在倉見工場(神奈川県高座郡)のみが担っている圧延工程の生産ラインを新工場にも設置し、BCP体制を強化するとともに、2020年度比で約25%の生産能力増強をはかる。

 両製品はJX金属が「2040年JX金属グループ長期ビジョン」で「フォーカス事業」として位置付けている先端素材分野の中核製品であり、世界でもトップシェアを有している。今後も社会が必要とする素材を提供していくため、市場の動向に即した供給体制を構築し続けていく。

(1)日立北新工場(仮称)


所在地:茨城県日立市砂沢町
面積:23,348.04㎡
製造する製品:半導体用スパッタリングターゲット
従業員数(予定):30~40人
稼働開始(予定):2023年度下期
設置設備(予定):半導体用スパッタリングターゲット溶解・圧延設備

(2)日立新工場(仮称)

所在地:茨城県日立市白銀町
面積:8,001.77㎡
製造する製品:圧延銅箔
従業員数(予定):20~25人
稼働開始(予定):2024年度上期
設置設備(予定):圧延機、脱脂ライン

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