川崎重工、無人VTOL機と配送ロボットの連携による無人物資輸送の概念実証に成功

 川崎重工業は11月29日、物流業界における労働力不足などの社会課題解決を目的として、開発した無人VTOL機「K-RACER」と配送ロボットの連携による無人物資輸送の概念実証に成功したと発表した。

 動画は、https://youtu.be/IU5luXpU37I

 川崎重工は、2030年に目指す将来像として制定したグループビジョン2030において、「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」を今後注力するフィールドとし、この「近未来モビリティ」の中で、無人VTOL機や配送ロボットの開発を行っている。

 今回の無人VTOL機は、2020年に飛行試験を実施した機体を改修してペイロード100kgを実現するとともに、配送ロボットとの連携機構を搭載した。パワーユニットはカワサキモータースが製造するモーターサイクル「Ninja H2R」のスーパーチャージドエンジンを採用している。

 配送ロボットは、ロボティクスおよびモーターサイクルや多用途四輪車のオフロード走行技術の知見を活かし、荒れた路面や段差のある道路でも安定して走行できるように開発した配送ロボットをベースに、無人VTOL機への搭載が可能な車両として開発している。

 実証では、荷物を積載した配送ロボットが無人VTOL機に自動で乗り込み、配送ロボットを積載したまま自動飛行、着陸後に配送ロボットが自動で離脱し荷物を届ける一連のシーケンスを行った。これによって、将来的に荷物を人の手を介さない完全無人での輸送を確認した。

 なお、無人VTOL機は今後、長野県伊那市から委託を受けて実施する「無人VTOL機による物資輸送プラットフォーム構築事業」でも使用する予定。

 川崎重工は、実証で得られた知見を活かし、物流業界における労働力不足などの社会課題解決を目的に、道路交通状況や海山川などの地形特性に左右されないスピーディな物資輸送や、山小屋や離島などへの安定した物資輸送のためのシステムを開発することによって、社会課題の解決に貢献していくとしている。

 詳細は、ニュースリリース