東洋紡、ニプロと共同でCTAダイアライザの一貫生産工場を新設、投資額は約50億円

・生産体制を強化、世界的な需要増に対応

 東洋紡(本社:大阪市北区)は11月5日、ニプロ(本社:大阪市北区)と共同でニプロ大館工場(秋田県大館市)内に、CTA(セルローストリアセテート)製ダイアライザ(人工腎臓)の一貫生産工場を新設すると発表した。世界で拡大が見込まれるダイアライザの需要増に対応するため、2024年7月の稼働開始を目指し、生産体制の強化を図る。

 画像:CTAダイアライザ一貫生産工場

 ダイアライザとは、腎臓の機能低下により慢性腎不全となった患者が、人工透析により血液をろ過し、老廃物などの毒素を取り除くために利用する医療機器。東洋紡は、1980年代初めより、CTAダイアライザ用の中空糸膜の製造を開始した。

 現在、東洋紡岩国事業所(山口県岩国市)で生産するCTA製の中空糸膜は物質除去能と生体適合性に優れており、血液中の老廃物を除去するのに役立つ。長年培った高度な製膜技術により中空糸に微細孔を形成することで高いろ過性能を実現するし。東洋紡の中空糸膜を利用したCTAダイアライザは、これまでも世界中で利用されてきた。

 今回、ニプロと共同で新設する工場では、前工程で東洋紡が原料から製造した中空糸を、後工程でニプロが加工、製品化する。両社の生産工程がスムーズに連携する一貫生産体制を構築することにより、生産効率の飛躍的な向上が可能になる。

 世界の人工透析患者数は今後も年率7%で増加が予想され、ダイアライザの需要も増加が見込まれています。東洋紡はニプロと緊密に連携し、世界中の患者の安心とQOL向上に貢献していく。

<新工場の概要>

所在地:秋田県大館市二井田字羽貫谷地8番地7(ニプロ株式会社大館工場内)

延床面積: 約31,000 m2 (ニプロ:15,000m2、東洋紡:16,000 m2)

構造(階数): 鉄骨造(3階建)

稼働: 2024年7月(予定)

<東洋紡>

生産品目:人工腎臓用CTA(セルローストリアセテート)製中空糸膜

設備投資額:約50億円(中空糸膜生産設備)

従業員数:23名(予定)

 ニュースリリース