ヤマシンフィルタが11月4日に発表した2022年3月期第2四半期(2021年4~9月)連結業績によると、売上高は95億56百万円(前年同期比45.6%増)となった。また利益面は、営業利益887百万円(前年同期△50百万円)、経常利益876百万円(△60)、親会社株主に帰属する四半期純利益328百万円(△152)となった。
4~9月期における世界経済は、ワクチン接種の進展により各国で経済活動が再開されるなか、新型コロナウィルスの感染再拡大の懸念など依然として先行きの見通せない状況が継続している。
主力事業である建機用フィルタ事業における建設機械市場においては、新型コロナウィルスの影響により停滞していた各国経済の回復に向けたインフラ投資や資源需要増に伴い、建機の稼働時間の顕著な増加と新車需要の急激な回復により、4~9月における売上高は大幅に増加した。しかし、利益面では、世界的なコンテナ需要の急増に伴う輸送コストの増大や海上輸送の遅延に伴う航空費用の発生及び原材料価格の高騰が増益幅の減少要因となった。
また、4~9月期において、引き続きロングライフのフィルタ製品やタンク内の気泡を除去するエアレーション技術、フィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載したフィルタ製品の主要得意先への積極的な提案を進めており、各建機メーカーの新機種への製品供給が暫時開始されている。
さらに、主要市場である北米市場においては、世界最大手建機メーカーに対する燃料用、トランスミッション用フィルタ等の新規提案・採用が進展し、中国市場においては、中国系建機メーカーへのリターンフィルタ製品を主軸とした新規採用実績は増加しており引き続き建機用フィルタ事業の更なる成長が見込まれる。このような事業下で、今後ロジスティクスの正常化や原材料高騰の調整が進むに伴い、ヤマシンフィルタの利益面の改善が顕著に図られる。
エアフィルタ事業においては、ビル・工場用エアフィルタの交換需要の低迷などにより減収減益となったが、今後の経済活動の回復に伴うビル空調用フィルタ需要の回復や新規物件の着工件数の増加が見込まれること等により収益の改善が図られる。また、新規ロングライフであり低圧損、高捕集率のナノファイバー製エアフィルタ(製品名:NanoWHELP)や溶菌・酵素エアフィルタを製品化し、オフィスビルや病院、工場、鉄道車両等への採用に向けた取り組みを進めるとともに欧米市場でのエアフィルタ性能の規格(米国規格ASHRAE、欧州規格EN等)を取得し、海外市場の開拓にも取り組んでいく。
ヘルスケア事業における、家庭用マスク市場においてはマスク供給量が充分な状況の中、国産品の高品質を望む需要はあるものの、安価で使い捨ての海外不織布マスクの需要が顕著であり、第2四半期連結累計期間の売上高は低調に推移した。こうした市場状況を踏まえマスク生産設備のうち、生産性が低く収益性の低下が認められた固定資産について、減損損失2億43百万円を特別損失として計上した。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
主力の建機用フィルタ事業では、前回通期の業績見通しを公表した2021年5月14日時点と比較し、世界的に発生している輸送ロジスティクスの混乱による海上輸送費や航空運賃といった物流コストの継続的な高騰や、原材料価格高騰の影響に伴う製造原価の増加が見込まれる一方で、日本、北米、欧州各国における、主要得意先各社の生産活動の回復に伴う新車需要の急激な回復や稼働時間の増加により、4~9月期においては大幅な増収増益となった。現状の受注残高や市場環境の見通しを踏まえ、第3四半期以降の需要も引き続き高い水準で推移することが見込まれることから、通期業績予想を以下のとおり修正した。
売上高184億円(前期比26.1%増、前回予想166億円)、営業利益17億円(前期△145百万円、前回予想15億円)、経常利益16億80百万円(前期△135百万円、前回予想14億700百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益759百万円(前期750百万円、前回予想960百万円)。
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