・セラミックコンデンサ用離型フィルムの生産体制を強化
東洋紡は10月25日、積層セラミックコンデンサ(以下、セラコン)用離型フィルムの製造設備を、宇都宮工場(栃木県宇都宮市)に新設すると発表した。2022年夏に着工し、2024年秋の稼働開始を目指す。今後も拡大が見込まれるセラコン需要に対応するため、生産体制の強化を図る。
セラコンは、電流を調整したり、電気を一時的に蓄積したりする汎用的な電子部品として、さまざまな電子回路に搭載されている。データ通信の高速化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展、電装化・自動運転といった自動車産業の発展を受けて需要の拡大が継続し、今後も年率7%以上での市場の成長が見込まれている。
東洋紡は、セラコンの製造工程に不可欠な離型フィルムを生産している。平滑性や離型性に優れ、セラコン製造時の製品不良率を低減できる点や、ハイエンド品と位置付けられる超小型セラコンに対応している点などが評価され、セラコン市場の成長を背景に採用が拡大。敦賀事業所(福井県敦賀市)に離型層のコーティング加工設備を導入し、1号機は2020年6月より本格稼働を開始、2号機は2022年春からの稼働を予定するなど、これまでも生産体制の強化に努めてきた。
宇都宮工場は、東洋紡が2021年4月に吸収合併した東洋紡フイルムソリューション(以下、TFS)の主力工場として、セラコン用離型フィルムや高耐久・高耐熱性を特長とするPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルムなど、長年にわたり高機能フィルムの生産を手掛けてきた。今回新設する製造設備では、TFSが培ってきたインラインコーティング※1技術と、東洋紡が有するクリーン環境下でのオフラインコーティング※2技術を融合し、高機能な離型フィルム製品のラインアップを拡充する。
東洋紡は「世界No.1のグリーンフィルムメーカー」になることを長期的な目標として掲げ、これまでも環境負荷の低いフィルム製品の開発や、生産効率の向上によるエネルギー使用量の削減に、業界に先駆けて取り組んできた。宇都宮工場においても、持続可能な社会の実現に貢献するため、使用済みの離型フィルムを原料として再利用する技術の開発や、より生産効率を高めた最新鋭の設備の導入を推進していく。
東洋紡は今後も、セラコン用離型フィルムにおいて、原反の製膜から離型層のコーティング加工まで一貫して行うことのできる国内唯一のメーカーとして、汎用品からハイエンド品まで、顧客の幅広いニーズに対応する。
※1: フィルムの製膜工程中にコーティング層を形成する加工方法のこと
※2: 製膜した原反フィルムに別途コーティング処理を行う加工方法のこと
<新設する製造設備の概要>
所在地: 栃木県宇都宮市清原工業団地13-1(東洋紡株式会社 宇都宮工場内)
延床面積: 約16,000㎡
構造(階数): 鉄骨造(一部6階建)
着工/稼働: 2022年夏/2024年秋(予定)
生産品目: 工業用ポリエステルフィルム
生産能力: 年間2万トン
設備投資額: 約200億円(宇都宮工場のインフラ整備など含む)
■宇都宮工場について
1985年に操業を開始したフィルム工場。セラミックコンデンサ用離型フィルムのほか、世界シェアをほぼ独占している、優れた機械強度特性・電気絶縁特性を持つPENフィルム「テオネックス®」や、飲料缶・食缶に使用される鋼鈑ラミネートフィルムなど、さまざまな種類の高機能フィルムを生産している。
画像:宇都宮工場に新設する製造設備(イメージ)
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