出光興産、ベトナムにブラックペレットの商業製造プラントを建設

・ベトナムにブラックペレット(商品名:「出光グリーンエナジーペレット™」)の商業製造プラントを建設

・日本の石炭需要家のCO2削減に貢献

・3年以内にブラックペレットの供給拠点を拡大し年産30万トンへ

 出光興産(本社:東京都千代田区)は10月21日、エネルギー安定供給への貢献および石炭ボイラーにおけるCO2排出低減を目的に、石炭の代替となるカーボンニュートラル燃料であるブラックペレット(商品名:「出光グリーンエナジーペレット™」)の大型商業プラントを世界で日本企業として初めてベトナム ビンディン省に建設すると発表した。生産能力は年産12万トン、2022年上期に稼働開始予定。

 新プラントの建設にあたり、出光興産はベトナムの既存木質ペレットの製造会社へ出資し、新会社「Idemitsu Green Energy Vietnam Limited Company」を設立する。

 既存の木質ペレット製造工場の敷地内に新プラントを建設し、原料は主にアカシアの端材や製材残渣を使用する。出光興産は新会社を通じて原料調達から生産、販売、輸送まで一貫したサプライチェーンを構築し、エネルギー会社としてサステナビリティの確保されたカーボンニュートラル燃料の安定供給を実現する。

 出光興産は2030年までに年産200万トンの「出光グリーンエナジーペレット」の供給体制構築を目標としている。2030年までの中間目標として、「3年以内に年産30万トン」の供給体制構築を目指し、ベトナムに続くマレーシア・インドネシアでの生産プロジェクトを今後進めていく予定。

 なお、マレーシアにおいては、欧州のベンチャー企業であるTG2社とパーム椰子の果実房(EFB)からバイオマス燃料を製造するプロジェクトが、2022年後半の商業化を目指して進行中。マレーシアではEFBが年間約2000万トン発生し、そのほとんどが廃棄され、環境汚染と温暖化要因のひとつとされるメタンガス発生の原因となっている。日本の2030年の温暖化ガス削減目標46%の実現には、安価でサステナビリティの確保されたカーボンニュートラル燃料の安定した供給体制の確立が必須であり、大量に廃棄されている農業残渣であるEFBの有効利用が大いに期待されている。

 現行の中期経営計画において、出光興産は2030年ビジョンをエネルギーの安定供給と共に社会課題の解決に貢献する「責任ある変革者」と定め、「地球と暮らしを守る責任」としてカーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギーマテリアルトランジションに取り組むことを掲げている。

 出光興産はエネルギー安定供給の責務を果たしながら、「出光グリーンエナジーペレット」の供給を拡大し、脱炭素社会の実現に貢献していく。

<概要>

会社名:Idemitsu Green Energy Vietnam Limited Company (出光持分90%)

場所:ベトナム ビンディン省

稼働開始時期(予定):2022年上期

生産能力:年産12万トン

使用材料:アカシア等

■「出光グリーンエナジーペレット」:一般に普及している木質ペレットを半炭化した高カロリー燃料。既存の石炭燃焼設備を改造することなく、そのまま石炭に混ぜて燃料として使用すること(混焼)が可能。また耐水性を有するため、既存の貯蔵設備が活用できる。既に電力・紙パルプ・化学・食品会社など幅広い産業の発電所や工場に試験燃焼用サンプルを提供しており、最大で35%の石炭代替が可能であることを確認している。混焼比率をさらに高め、最終的には出光グリーンエナジーペレットのみを燃料とする(専焼化)ことも可能であり、カーボンニュートラルに向けた効率的かつ現実的なCO2排出低減策であると高評価を得ている。

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