ヤマシンフィルタ,21年4〜6月売上は63.9%増の46億円

 ヤマシンフィルタが8月4日に発表した2022年3月期第1四半期(2021年4~6月)連結業績委によると、売上高は46億85百万円(前年同期比63.9%増)となり、営業利益は3 億41百万円(前年同期は98百万円の営業損失)、経常利益は3億34百万円(前年同期は1億1百万円の経常損失)、 親会社株主に帰属する当期純利益は2億8百万円(前年同期比は82百万円の当期純損失)となった。

 第1四半期(2021年4~6月)における世界経済は、ワクチン接種の進展により各国で経済活動が再開されるなか、新型コロナウィルスの変異種による感染再拡大懸念や、原材料価格の高騰、 半導体等の部材不足による経済への悪影響など、依然として先行きの見通せない状況が継続している。

 主力事業である建機用フィルタ事業における建設機械市場においては、新型コロナウィルスの影響により停滞していた各国経済は、回復に向けたインフラ設備投資や資源需要増に伴い、建機の稼働時間の顕著な増加と新車需要の急激な回復に支えられ、第1四半期における売上高は大幅に増加し、新型コロナウィルス感染拡大前の水準まで回復した。

 また、世界最大の建設機械市場である中国市場においては、油圧ショベルの新車販売台数が過去最大を記録した前年度に比べやや減少すると見込まれるものの、依然として高い水準にある。また、他国に先駆けいち早くコロナ禍を切り抜けた中国市場では、経済活性化のための公共事業投資等の積極財政により建機需要は堅調に推移しており、2022年12月に施行が予定される第4次環境規制対応に向けた新車の駆け込み需要が見込まれることから今後も需要は堅調に推移することが見込まれる。

 このような環境の中、第1四半期において、ヤマシンフィルタグループは、独自に開発した合成高分子 系ナノファイバー「YAMASHIN Nano Filter TM 」を使用した高付加価値製品の普及、ラインナップの拡大に努めた。具体的には、ロングライフのフィルタ製品やタンク内の気泡を除去するエアレーション技術、フィルタの汚染度や交換頻度を感知するセンサ技術を搭載したフィルタ製品の主要得意先への積極的な提案を進めており、各建機メーカーの新機種への製品供給が開始されている。

 また、主要市場である北米市場においては、世界最大手建機メーカーに対する燃料用、トランスミッション用フィルタ等の新規提案・採用が進展し、中国市場においては、中国系建機メーカーへのリターンフィルタ製品を主軸としたヤマシンフィルタ製品の新規採用実績は増加している。

 このように、ヤマシンフィルタの日米欧を中心とした既存主要得意先へ の新製品の提案や製品ラインナップの拡大及び中国系建機メーカーへのシェア拡大により更なる成長が見込まれる。

 更には、ヤマシンフィルタグループは、サプライチェーンの強化によるバリューチェーンの更なる向上を図ることで、筋肉質な経営体質への変革を実行し収益性の改善に努めるとともに、高付加価値かつサステナブルな製品、技術の普及に よるGHG(Green House Gas-温室効果ガス)排出量削減に積極的に貢献していく。

 エアフィルタ事業においては、世界初の独自のメルトブロー法による3D構造の合成高分子系ナノファイバー 技術を活用した新製品の開発を継続し、この技術的、性能的に差別化された製品のラインナップを拡充させること により国内外での競争力強化に努めていく。

 ヘルスケア事業における、家庭用マスク市場においては、第1四半期のマスク市場は、コロナ禍における消費動向は国産品の性能品質の確かなものを望む消費需要が堅調にあるものの、一方では安価で使い捨ての海外不織布マスクへの需要が最も大きく、また気温の上昇に伴う布マスク等への代替需要が進行するなどの環境下で、マスク需要の端境期に当たる第1四半期連結累計期間の売上高は低調に推移した。

 一方、同事業の収益面での課題であるマスク量産体制については、第2四半期に稼働が開始される全自動化ラインの導入により生産の合理化による大幅な原価低減が可能となる見込み。しかし、第1四半期においては、製造工程の確立は途上段階であり、製造原価の低減が十分に図れなかったことにより、ヘルスケア事業の業績は低調に推移した。

 これらの取り組みに加え、前期より国内大手アパレルメーカー数社に対し、素材の優位性を訴求し「YAMASHIN Nano Filter TM 」の量産供給提案活動を継続している。

 2022年3月期連結業績予想は、下記の前回予想を据え置いた。

 売上高166億円(前期比13.8%増)、営業利益15億円、経常利益14億7,000万円、親会社株主に帰属する当期純利益9億6,000万円(同27.9%増)。

 ヤマシンフィルタの2022年3月期第1四半期決算短信