DMG森精機、21年1~6月売上は15.5%増の1,782億円、通期予想は11.2%増の3,650億円に修正

 DMG森精機が8月5日に発表した2021年12月期第2四半期(2021年1~6月)連結業績によると、売上収益は前年同期比15.5%増の1,782億46百万円、営業利益は102億8百万円(前年同期は△559)、税引前四半期利益は85億44百万円(同559)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は60億97百万円(同△2,153)となった。

 1~6月の連結受注額は前年同期比61%増の2,184億円と、前年度4~6月期が需要の底であった反動もあり、大幅に回復した。その結果、当四半期末の機械本体受注残高は、前年度末比460億円増の1,420億円となった。1台当たりの受注平均単価は、5軸加工機の需要増、大型自動化案件の増加およびデジタル化などの価値提案の向上により、当第1四半期に続き上昇基調にある。また、修理復旧・補修部品事業の受注も、顧客の生産活動の正常化を反映して、前年同期比26%増となった。

 地域別の機械受注金額は、中国が前年同期比2.3倍、欧州が同2.1倍と大きく回復した。前年同期の落ち込みが比較的小さかった米州でも同34%増、2019年初から弱含んでいた日本が同40%増、中国を除くアジアも同40%増と、グローバルに工作機械需要の拡大が顕著になっている。

 産業別の受注は、従来から堅調な半導体製造装置関連、金型、SMEsに加え、一般機械向けや電気自動車(EV)関連投資も含む自動車向けも回復してきた。また、昨年来落ち込んでいた民間航空機関連向けでも引合いが出始めている。エネルギー関連は、引き続き弱含みの展開となっている。DMG森精機の直販・直サービスの強みを活かし、第3四半期以降も引き続き、旺盛な需要を着実に受注に取り込んでいく。

 経営理念にも掲げているとおり、工作機械・独自領域・内製コンポーネント・周辺機器などのハードウエア及びソフトウエアと、加工システムの構築・高効率な加工プロセスの提案・保守保全・ファイナンスなどのサービスを組み合わせた最善の加工オートメーションを提供し、顧客の生産性向上に貢献することを、DMG森精機は目指している。その一環として、顧客がDMG森精機製工作機械に係る網羅的な情報を効率的に管理できるポータルサイトmy DMGMORIの拡充を進めている。当年度には、新機能「サービスリクエスト」の提供を開始した。この機能により、従来電話で受けていた修理復旧依頼や部品注文を、オンラインで受付けできるようになった。

 そのほかの取組みとして、2021年6月にはエネルギー産業用高圧鋼管の加工に最適な大型精密ターニングセンタNLX6000|1000の旋削仕様を、そして、7月には多品種生産の自動化に最適な4,000本大容量工具マガジン「CTS(セントラルツールストレージ)」を開発した。また、高効率に工具の非接触機上計測を行う「ツールビジュアライザー」の販売も開始している。今後もより多くの顧客のニーズに応えられるよう、より高機能で信頼性の高い製品を提供していく。

■エジプトにアフリカ初の新工場建設

 アフリカにおいて先端技術に対する潜在需要が高まっていることから、その窓口とするべくエジプト・カイロにアフリカ初の工場を建設する。新工場建設はアラブ工業化機構(AOI)と協力して進めている。年間1,000台の生産能力を有し、2023年秋のオープンを予定している。加えて、新工場内及びエジプト国内の教育機関において、トレーニングの提供も行う。スマートファクトリーや教育の提供により、アフリカ・中東地域の顧客の生産性向上、新しい雇用の創出に貢献していく。

 2021年7月、DMG森精機は、TCFD(The Task Force on Climate-related Financial Disclosures/気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明いたした。気候変動が事業に与えるリスク及び機会の両面に関して、TCFDの提言に沿った情報開示を行っていく。

 気候変動については、様々な産業の顧客の生産性向上を実現するという、DMG森精機の事業活動そのものが環境保護につながると考えている。工作機械のエネルギー消費を削減することで、様々な産業のカーボンフットプリントの削減に貢献している。また、脱炭素社会や資源循環型の社会に向けた取組みを、DMG森精機では製品製造過程でも行っている。2021年3月には、グローバルで生産する全商品の部品調達から商品出荷までの工程においてカーボンニュートラルを達成した。2022年にはサプライチェーン全体での達成を目指しており、その一環として、伊賀事業所に太陽光発電システムの設置を計画している。顧客工場でのCO₂排出量削減だけでなく、自社でもCO₂排出削減活動を行い、グループ一丸となって今後とも脱炭素社会の実現に取り組んでいく。

 DMG森精機では、会社の安定した事業運営と将来に向けた持続的な発展成長には、社員の心身の健康が必要不可欠であると考えている。2021年1月には「DMG森精機 健康経営宣言」を策定いたした。有給休暇の完全取得を励行しているほか、在社時間制限を設けることで限られた時間内での効率的な働き方を推進している。

 感染症予防の観点からは、DMG森精機最大の拠点である伊賀事業所にPCR検査装置を導入した。かねてより、顧客と接する機会の多い社員は外部機関で定期的にPCR検査を受検していたが、このほど事業所内に検査装置を導入したことで、より迅速かつ適切なタイミングでの受検が可能となった。また、ワクチンの職域接種も順次進めており、8月中にはほぼ全ての社員について2回目の接種が完了する見込み。今後とも、会社を挙げて社員の健康維持・増進に取り組んでいく。

 なお、DMG森精機は、株式会社東京証券取引所より、新市場区分における上場維持基準への適合状況に関する第一次判定結果として「プライム市場」の上場維持基準を満たしていることの通知を受けている。今後、本通知に基づき所定の手続きを進めていく。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 足下において、全世界的に工作機械需要が回復している。DMG森精機においても、半導体や電気自動車(EV)関連を中心として好調な受注が継続している。2021年12月期の連結業績予想については、2021年5月12日に公表した通期の連結業績予想を下記のとおり上方修正した。

 売上収益3,650億円(前期比11.2%増)、営業利益200億円(同87.4%増)、親会社株主に帰属する当期利益110億円(同530.0%増)。

 2021年12月期第2四半期決算リリース

 DMG森精機2021年12月期第2四半期決算短信

 第2四半期(上期)決算説明資料