コマツ、21年4~6月売上は41.3%増の6,482億円、通期予想は変更せず

 コマツが7月30日に発表した2022年3月期の第1四半期(2021年4~6月)連結業績によると、売上高は6,482億円(前年同期比41.3%増加)となった。建設機械・車両部門では、前年同期における新型コロナウイルス感染症の影響が縮小し、一般建機・鉱山機械ともに中国以外の地域において需要が好調に推移した。新車需要を着実に取り込んだことに加え、部品・サービス売上げも増加したことから、売上高は前年同期を上回った。産業機械他部門では、自動車産業向けの鍛圧機械、板金機械及び工作機械の設備投資が回復基調であることに加え、半導体産業向けのエキシマレーザー関連事業などの需要が好調だったことから、売上高は前年同期を上回った。

 利益については、建設機械・車両部門における各地域での販売量増加や販売価格の改善、円安の影響により、営業利益は617億円(前年同期比129.4%増加)となった。売上高営業利益率は前年同期を3.6ポイント上回る9.5%、税引前四半期純利益は614億円(前年同期比115.7%増加)、当社株主に帰属する四半期純利益は408億円(前年同期比151.6%増加)となった。

 コマツは、2022年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value – FORWARD Together for Sustainable Growth」において、①イノベーションによる価値創造、②事業改革による成長戦略、③成長のための構造改革 を成長戦略3本柱として掲げており、将来に向けて収益向上とESG(環境・社会・ガバナンス)の課題解決の好循環による持続的成長を目指して活動を継続している。

 コマツ2022年3月期第1四半期デー

■部門別の概況

[建設機械・車両]

 建設機械・車両部門の売上高は5,943億円(前年同期比39.6%増加)、セグメント利益は536億円(前年同期比131.3%増加)となった。

 中期経営計画における成長戦略3本柱の1つである「イノベーションによる価値創造」においては、重点活動の一つである「建設・鉱山機械・ユーティリティ(小型機械)の自動化・自律化、電動化、遠隔操作化」を着実に推進し、油圧ショベルの自動積込制御の精度向上や、1台の操作ポッドから異なる機種を遠隔操作する実証実験を進めた。また、2021年6月より交換式バッテリーを活用した電動マイクロショベルの共同開発を開始した。鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)については、引き続き導入を強化し、6月末時点の総稼働台数は累計382台となり、中期経営計画での当期末導入目標を前倒しで達成した。また、建設現場向けソリューション「スマートコンストラクション」については、更なる高度化と海外への幅広い展開を目指し、パートナーとともに新会社「株式会社EARTHBRAIN」を発足させることに合意した。

 「事業改革による成長戦略」においては、燃費、コスト、ロバストネス性を重視した戦略市場向け商品の導入を進め、東南アジア地域を皮切りに2ラインモデル戦略の展開を開始した。

 「成長のための構造改革」については、その一環として、コマツマイニング(株)において坑内掘り石炭向け鉱山機械の生産再編を引き続き進め、英国のコンベア事業の売却を決定するなど、不採算事業の見直しと生産能力の適正化に取り組みました。

■地域別の概況

<日本>

 日本では、公共工事は新型コロナウイルス感染症の影響が小さく、引き続き需要が堅調に推移した。あわせて民間工事向けの需要も回復したことにより、新車販売が増加し売上高は前年同期を上回った。

<米州>

 北米では、一般建機の需要は、エネルギー関連向けは低調であるものの、住宅建設、インフラ、レンタル向けが好調に推移した。加えて、鉱山機械の部品・サービスの売上げが増加したことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 中南米では、一般建機・鉱山機械ともに需要が好調に推移した。主に銅鉱山向けの鉱山機械販売が増加したことや、各国政府の景気下支え策の影響もありブラジル、チリを中心に一般建機需要が堅調に推移したことにより、売上高は前年同期を大幅に上回った。

<欧州・CIS>

 欧州では、景気下支え策の影響などにより主要市場であるドイツ、英国、フランスやイタリアにおいてインフラ向けの需要が回復したことにより、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 CISでは、インフラ及びエネルギー関連向けの一般建機の需要が好調であることに加え、金鉱山向け鉱山機械需要が堅調だったことにより、売上高は前年同期を大幅に上回った。

<中国>

 中国では、新型コロナウイルス感染症の影響により昨年発生した春節後の販売シーズンの後ろ倒しの影響がなくなったことや、インフラ投資の鈍化などにより需要が減少した。また、中国メーカーの販売比率上昇の影響もあり、売上高は前年同期を下回った。

<アジア・オセアニア>

 アジアでは、新型コロナウイルス感染症が再拡大している地域があるものの、インドネシアにおける石炭向け鉱山機械や、インドネシア、フィリピン、マレーシアにおける一般建機の需要がともに好調だったことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 オセアニアでは、鉄鉱石向け鉱山機械及び一般建機の需要が堅調に推移し、売上高は前年同期を大幅に上回った。

<中近東・アフリカ>

 中近東では、トルコでの需要が引き続き堅調であることに加え、UAEのインフラプロジェクト向けなどの販売が増加した。新型コロナウイルス感染症の影響から回復したこともあり、売上高は前年同期を大幅に上回った。

 アフリカでは、南部アフリカ地域において鉱山機械の需要が着実に回復し、その他地域においても一般建機及び鉱山機械需要が好調だったことから、売上高は前年同期を大幅に上回った。

[リテールファイナンス]

 リテールファイナンス部門では、一般建機及び鉱山機械の販売増加に伴い、新規取組高が増加したことから、売上高は204億円(前年同期比28.5%増加)となった。セグメント利益は、前年同期における新型コロナウイルス感染拡大時に実施した支払猶予の影響などがなくなったことから、32億円(前年同期比69.7%増加)となった。

[産業機械他]

 産業機械他部門では、自動車産業の設備投資の復調により、鍛圧機械、板金機械、工作機械の需要が回復基調であることに加え、海外の顧客の現場における据付け工事の完了などにより売上げが増加した。加えて、半導体産業向けのエキシマレーザー関連事業などの需要が好調だったことから、売上高は408億円(前年同期比63.2%増加)、セグメント利益は42億円(前年同期比146.2%増加)となった。

■連結業績予想に関する定性的情報

 2021年4月30日に下記の通り公表した2022年3月期の連結業績予想は変更していない。

 2022年3月期(2021年度)連結業績予想は、売上高2兆4,690億円(前年度比12.8%増)、営業利益2,250億円(同34.5%増)、税引前当期純利益2,170億円(同33.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,460億円(同37.4%増)。

 コマツの2022年3月期第1四半期決算短信

 第1四半期決算説明資料