昭和電工、電動車用アルミニウム製冷却器の生産ラインを増設

 昭和電工(本社:東京都港区)は7月29日、電気自動車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車などの電動車に搭載されるパワーモジュール(Power Module、以下PM)注1向けアルミニウム製冷却器(画像)の需要増加に対応するため小山事業所栃木県小山市犬塚1-480)の生産能力を倍増させることを決定し、2022年初頭の稼働開始に向けて生産ラインの増設に着手したと発表した。

 電動車用のPMは電動車の航続距離の延長や燃費の改善など、性能向上に寄与する重要部品。PMは車内の限られたスペースに搭載しなければならないため、PM向け冷却器には、小型かつ搭載方法の自由度が高いことと同時に、高効率化・高放熱化が求められている。

 昭和電工が生産するPM向けアルミニウム製冷却器は、絶縁基板に放熱用の同社製アルミフィンを真空ロウ付け注2で直接接合することにより、小型で冷却水用の配管の位置を柔軟に設計できる高い汎用性と、高い放熱効果を実現している。同製品は2019年から生産を開始しており、国内大手PMメーカーでモジュール化され、日本国内やアジア各地の自動車メーカーに採用されている。

 今後カーボンニュートラル実現に向けたグローバル規模での取り組みの強化を背景に、自動車業界でも電動車へのシフトが加速し、一層の市場拡大が見込まれている。昭和電工は長年培ってきたアルミニウム合金設計技術と加工技術、パワーモジュール評価技術をもとに、より小型で高性能のPM向け冷却器の開発・生産に取り組み、顧客の課題を解決するソリューションを提供して、アルミ機能部材事業の拡大を目指していく。

注1パワーモジュール:複数のパワー半導体を組み合わせ、電源関係の回路を集積した部品。電動車の性能向上に寄与する重要部品。

注2真空ロウ付け:ロウ付けとは、母材をほとんど溶かさない接合法。炉の中が真空状態なため、炉内の温度を高精度に管理調整が可能で、寸法精度の厳しい同製品のような微細精密部品の接合に適している。

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