・国内初の洋上風力着床式基礎製造拠点
JFEエンジニアリング(本社:東京都千代田区)は7月20日、洋上風力発電設備の着床式基礎(モノパイル式)新工場の設備投資を決定したと発表した。総額400億円を投資する。モノパイル式基礎は、支柱としてのモノパイルと風車タワーとの接続のためのトランジションピースで構成され、極厚・大口径・長尺の超重量物で、国内既存工場では製造が困難な大きさであり、完成すれば本工場は国内初のモノパイル式基礎製造工場(以下、モノパイル工場)となる。
政府は、2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標を揚げ、洋上風力発電は再生可能エネルギー主力電源化の切り札として期待されている。昨年12月に発表された「洋上風力産業ビジョン(第1次)」においては、2040年までに30~45GWの案件形成と国内調達比率を60%にする目標が示された。
同社がモノパイル式基礎の国内製造事業に着手することは、この政府目標の達成に大きく寄与するものとなる。
モノパイル工場は、JFEスチール西日本製鉄所(福山地区)の敷地内(岡山県笠岡市)に建設予定。JFEスチールが製造した大単重厚板を岡山県笠岡市内の新工場に輸送した後、モノパイルとトランジションピース素管を製造する。その後、モノパイルについては洋上風力発電事業の建設地へ直接、海上輸送する。一方、トランジションピース素管についてはJFEエンジニアリング津製作所へ海上輸送し、2次部材、内装品を設置してトランジションピース完成品とした後、津製作所より建設地へ海上輸送する。
両拠点への設備投資総額は、約400億円を見込んでいる。
同社は、速やかに国内モノパイル製造拠点を整備するとともに、将来的には既に港湾桟橋等で豊富な実績があるジャケット式基礎を加え、洋上風力基礎製造のフルラインナップ体制を確立する。急拡大する洋上風力発電の建設需要に確実に応えるとともに、カーボンニュートラル実現に大きく貢献していく。
<モノパイル工場の概要>
製造場所:岡山県笠岡市(JFEスチール西日本製鉄所(福山地区)内)
〔モノパイル及びトランジションピース素管〕
投資内容:工場建屋、製造設備、運搬設備、岸壁整備など
敷地面積:約20ha(保管エリア含む)
生産能力:年産8~10万トン程度
建設開始:2022年5月
生産開始:2024年4月(ラウンド1案件に間に合わせる予定)
<トランジションピース組立工場の概要>
製造場所:三重県津市(JFEエンジニアリング津製作所)
投資内容:運搬設備、地盤改良など
生産能力:年産50本程度
生産開始:2024年4月(ラウンド1案件に間に合わせる予定)