日立建機、土浦工場に国内最大級の電波暗室を新設

・建設機械の自動化・自律化・電動化などの製品開発スピードを加速

 日立建機は7月8日、土浦工場(茨城県土浦市)敷地内に、建設機械における電磁波の影響を試験する「車体EMC試験用電波暗室」(以下、電波暗室)を新設すると発表した。2021年8月末に竣工し、同11月初旬より稼働を開始する予定。建設機械にも対応可能な電波暗室としては国内最大級*1。

 日立建機はこれまで、建設機械と他の電子機器が相互に電磁波の影響を与えるかどうかを確認する試験(以下、EMC試験*2)は、浦幌試験場(北海道十勝郡浦幌町)の屋外や社外の施設で行ってきた。今後は、油圧ショベルなどの開発・生産拠点である土浦工場で実施できるようになる。

 また、屋内での試験となるため、天候や気象条件に左右されずに安定した環境下でEMC試験が可能になる。これにより、近年需要が高まっている建設機械の自動化・自律化・電動化のほか、安全装置の搭載やICT施工への対応など、製品開発スピードを加速させていく。

 電波暗室でのEMC試験対象となる製品は、日立建機グループのミニショベル、中・大型油圧ショベル、超大型油圧ショベル、ホイールローダ。今後、先進的な製品開発とともに電子機器による制御の高度化が進むなか、電子機器の信頼性や高い品質がより重要になるため、開発・生産拠点である土浦工場敷地内への電波暗室の新設に至った。将来的に、製品の開発状況によっては、ダンプトラックや道路機械も試験対象にする。大型重量物にも対応可能な設備であるため、土浦工場の周辺企業への貸し出しも視野に検討している。

 日立建機グループは、「地球上のどこでもKenkijinスピリットで身近で頼りになるパートナー」をめざし、引き続き顧客の課題を解決するソリューション「Reliable solutions」を顧客と協創し、顧客の課題である「安全性向上」、「生産性向上」や「ライフサイクルコスト低減」に貢献していく。

<車体EMC試験用電波暗室>

所在地:茨城県土浦市神立町650(日立建機 土浦工場敷地内)

建築面積:1,288m²(電波暗室床面積:500m²)

床耐荷重:200t

試験対象製品*3:ミニショベル、中・大型油圧ショベル、超大型油圧ショベル、ホイールローダ

*1:2021年7月8日時点。日立建機調べ。

*2:Electromagnetic Compatibility(電磁両立性)試験。建設機械が発する電磁波による他の電子機器への影響(電磁妨害)および、他の電子機器からの電磁波への耐性(電磁耐性)を確認する。

*3:超大型油圧ショベルはEX1900(190tクラス)まで対応。

 画像・上:油圧ショベル(30tクラス)のEMC試験の様子(イメージ)

 画像・下:「車体EMC試験用電波暗室」(外観)

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