・別子地区に新工場建設
住友金属鉱山は7月6日、自動車の電動化進展に伴う車載用二次電池の需要拡大に対応するために、二次電池用正極材の増産を行うことを決定、別子地区(愛媛県新居浜市)に新工場を建設、播磨事業所(兵庫県加古郡播磨町)で設備を増強すると発表した。設備投資総額は両拠点合計470億円で、2025年の完成を予定している。
現在、世界での脱炭素化の流れに合わせて自動車の電動化が急激に加速しており、車載向け電池の増産が相次いでいる。住友金属鉱山では車載電池向けにニッケル系の正極材を生産・販売しているが、その需要は大きな広がりを見せている。また、正極材ではハイニッケル化(ニッケル比率の向上)が進んでおり、同社の技術が活かされる分野が広がっている。
このような動きを受け、現在正極材を生産している磯浦工場(愛媛県新居浜市)の近隣の遊休地において、ニッケル系正極材の新工場を建設することを決定した。またこれに合わせ、上工程となるプリカーサーについては、現在製造拠点となっている播磨事業所において設備を増強する。新居浜地区の設備投資額は400億円、播磨事業所での設備投資額は70億円を予定している。
今後、建物をはじめとした完成まで長期間を要する設備から順次投資を行い、最新の技術を反映した生産設備・プロセスを導入・構築し、操業開始時点で必要とされるニッケル系正極材の生産を行っていく。最終的な生産能力は正極材2,000t/月を想定している。
住友金属鉱山とは2018年中期経営計画において、2024年中期経営計画期間(2027年)までに 正極材の生産量を10,000t/月まで引き上げることをめざしており、今回の決定によりこれ に大きく近づく。また世界の課題である脱炭素化に貢献する高機能電池材料の供給拡大により、「2030 年のありたい姿」の重要課題「気候変動」のありたい姿で掲げている「温室効果ガス (GHG)排出量ゼロに向け、排出量削減とともに低炭素負荷製品の安定供給を含めた気候変動 対策に積極的に取り組んでいる企業」の実現に向けて取り組んでいく。
今回の計画は、経済産業省による「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」対象事業となっている。住友金属鉱山は日本国内の産業発展のため、補助金を適切に使用して事業を行っていく。