清水建設、洋上風力建設分野で欧州有力企業とアライアンス

 清水建設は6月30日、ノルウェーのFred.Olsen Ocean Ltd.(フレッド・オルセン・オーシャン社:以下、FOO社)と、洋上風力建設分野での協力体制の構築に関する覚書を締結したと発表した。今後、欧州・米国・アジアで多くの洋上風力建設プロジェクトに携わってきたFOO社と連携し、日本国内で計画されている洋上風力発電施設のEPC(設計・調達・建設)受注を目指す。

 日本では、2019年4月に施行された「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(再エネ海域利用法)に基づき、促進区域の指定や公募による事業者選定が始まるなど、洋上風力発電の導入に向けた動きが加速している。政府の「洋上風力産業ビジョン(第1次)」では洋上風力発電能力を2030年までに10GW、2040年間までに30~45GWに増強する目標が掲げられており、今後、洋上風力建設市場の急速な拡大が見込まれる。

 清水建設はこうした状況下、日本の洋上風力建設市場でトップシェアを獲得すべく、約500億円を投じ、世界最大級の搭載能力・クレーン能力を備える自航式SEP船(自己昇降式作業台船)の建造を進めている。一方、洋上風力発電施設のEPC受注に向けては、洋上風力発電の導入が進む欧州で施工実績を重ねてきた海外企業との協業が不可欠。そこで清水建設は、洋上風車の据え付け工事で欧州有数の実績を有し、SEP船の運行管理にも高度な知見を有するFOO社とのアライアンス構築を決定した。

 FOO社は、SEP船チャーター事業や洋上風車の運搬・据え付け工事を手掛ける欧州有数の洋上風力建設企業で、洋上風車据え付け工事の施工実績は700基以上、発電容量は約4.5GWに上る。

 両社のアライアンスにおいて、清水建設は、FOO社からSEP船の運行訓練や洋上風車据え付け工事の技術支援を受ける。一方、FOO社は、清水建設との協業により、日本における洋上風力事業の展開を図っていく。また両社は、海外の洋上風力建設プロジェクトについても相互に協力して取り組みを進める。

 清水建設は、今後予想される洋上風車の大型化に対応できる高性能SEP船とFOO社との強固な協力体制を武器に洋上風力発電施設のEPC受注の拡大を図り、脱炭素社会の実現に寄与していく考え。

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