KYBは6月25日、「2020年度通期 ブリッジレポート」を公開した。
今回のポイント:
⚫ 21 年3 月期の売上高は前期比14.0%減の3,280 億円、セグメント利益は同24.2%減の133 億円。新型コロナウイルスの影響を大きく受け販売数量が減少。ただ、免制振オイルダンパー関連費用および減損損失の減少により営業利益以下は黒字転換した。売上・利益ともに第1 四半期をボトムに急速に回復している。未定としていた配当は75.00 円/株に復配の予定。
⚫ 22 年3 月期の売上高は前期比11.3%増の3,650 億円、セグメント利益は同65.1%増の220 億円と増収・大幅増益を予想。AC 事業、HC 事業とも増収を計画。四輪車用油圧緩衝器を中心としたAC 事業は、新型コロナウイルス感染症や、世界的な半導体不足による懸念はあるも、今後も緩やかな回復が続くと想定している。建設機械用油圧機器を中心としたHC事業においても、新型コロナウイルス感染症による不透明感はあるものの、堅調な需要が続くと想定している。配当は中間、期末とも45.00 円/株の年間90.00 円/株(前期比15.00 円/株増配)を予定している。予想配当性向は14.4%。
⚫ 免制振オイルダンパーについては、2021 年4 月末時点で適合化を開始したのは対象建築物の96%にあたる951 物件、同92%にあたる912 物件で適合化は完了している。全物件完了に向け適合化は順調に進捗している。費用計上についても目処が立ってきたと同社では考えている。
⚫ 新型コロナウイルスの影響など外部環境を踏まえて見直しを行い、今回正式に「2020 中期経営計画」を発表した。「規範意識とコンプライアンス遵守を経営の根幹に高収益体質への変革を目指す」ことをテーマとし、「コンプライアンス遵守とガバナンス強化」「収益基盤の安定化(不採算事業・拠点・製品の撤退)」「成長戦略」「ESG 経営への進化」を注力項目として掲げている。2022 年度の財務目標として「売上高3,780 億円、セグメント利益250 億円」を掲げている。売上高は2019年度に及ばないが、セグメント利益および利益率は過去最高を目指す。筋肉質な企業への変身を図る。
⚫ 予想を上回る水準での黒字転換を果たし、業績の急回復とともに株価も急騰、コロナ禍前の2019 年10 月高値を更新し、4,000 円台を回復したが、PER は6 倍台と市場平均を大きく下回る。2017 年10 月の高値7,380 円を2018 年3 月期第2四半期決算短信における2018 年3 月期の予想EPS614.58 円で割ると、当時の予想PER は12.0 倍となり、現在のPERはこの50%の水準である。これを投資家が割安と判断するか、または今後の成長力に対して現時点では疑問をもっていると見るか、「2020 中期経営計画」の進捗に加え、企業側がその先の成長ストーリーをどのように描いていくのかを注目していきたい。
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