KYB、2020年度売上は14%減の3,280億円、21年度予想は11.3%増の3,650億円

 KYBが5月14日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、売上高は3,280億円となり、前年度比べ535億円(14%減)の減収となった。損益については、2020年度において、免震・制振用オイルダンパーの製品保証引当金について取崩を行った影響等により、営業利益は182億97百万円(前年度は営業損失402億98百万円)、税引前利益は163億40百万円(前年度は税引前損失414億19百万円)となった。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は、170億87百万円(前年度親会社の所有者に帰属する当期損失618億79百万円)となった。

 2020年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、厳しい状況が続いている。米国や中国をはじめとして、一部で経済活動に回復の兆しが見られたほか、ワクチン接種による新型コロナウイルス感染症の収束の期待も高まっているが、変異株の出現による感染再拡大など、予断を許さない状況が続いている。また、わが国経済においても、政府による景気刺激策により、一部の産業では輸出や生産が持ち直し、経済活動に動きが見られましたが、新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、依然として先行き不透明な状況が続いている。

 このような環境のもと、KYB製品の主要な需要先である自動車市場は、世界経済が失速し、新型コロナウイルスの感染拡大によりお取引先様各社も工場の操業停止等の影響を受けたことにより、前年度に比べ需要が減少した。また、建設機械市場も、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、前年度に比べ需要が減少した。

 KYB2021年3月期データ
 
■セグメント別業績
<AC(オートモーティブコンポーネンツ)事業セグメント>
 四輪車用油圧緩衝器は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞の影響により、売上高は1,427億円と前年度に比べ14.6%の減収となった。
 二輪車用油圧緩衝器は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞の影響により、売上高は261億円と前年度に比べ7.6%の減収となった。
 パワーステアリング製品を主とする四輪車用油圧機器は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞の影響により、売上高は248億円と前年度に比べ22.8%の減収となった。ATV(全地形対応車)用機器を中心とするその他製品の売上高は39億円となった。
 以上の結果、同セグメントの売上高は1,975億円となり、営業利益は74億30百万円(営業利益率3.8%)となった。
<HC(ハイドロリックコンポーネンツ)事業セグメント>
 建設機械向けを主とする産業用油圧機器は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞の影響により、売上高は1,040億円と前年度に比べ11.1%の減収となった。鉄道用アクティブサスペンションシステム及び緩衝器を主とするその他製品の売上高は74億円と前年度に比べ11.2%の減収となった。
 以上の結果、同セグメントの売上高は1,113億円となり、営業利益は59億37百万円(営業利益率5.3%)となった。
<システム製品>
 システム製品は、売上高は60億円と前年度に比べ26.5%の減収となったが、2020年度において、免震・制振用オイルダンパーの製品保証引当金について取崩を行った影響等により、営業利益は66億87百万円(営業利益率111.6%)となった。
<航空機器事業>
  航空機器事業は、売上高は39億円と前年度に比べ29.6%の減収となり、営業損失は26億75百万円となった。
<特装車両事業、電子機器等>
 コンクリートミキサ車を主とする特装車両の売上高は83億円と前年度に比べ3.8%の減収となった。電子機器等の売上高は11億円と前年度に比べ42.5%の減収となった。以上の結果、同セグメントの売上高は94億円となり、営業利益は9億16百万円(営業利益率9.8%)となった。

■今後の見通し
 世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種により収束に向かい、緩やかに正常化していくことが期待されているが、変異株の出現による感染再拡大など、不透明な状況が続くと予想される。
 KYBグループを取り巻く環境については、四輪車用油圧緩衝器を中心としたAC事業は、新型コロナウイルス感染症や、世界的な半導体不足による減産の影響を見込んでいるが、今後も緩やかな回復が続くと想定されることから、2021年3月期比で増収を予想している。
 また、建設機械用油圧機器を中心としたHC事業においても、新型コロナウイルス感染症の影響を見込んでいるが、市況の回復に伴い、堅調な需要が続くと想定されることから、2021年3月期比で増収を予想している。
 このような環境のもと、2022年3月期の連結業績は以下のとおりになる見込みですが、偶発負債に関する注記に記載のとおり、今後の進捗により、次期の連結業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
 なお、業績予想における為替レートについては、1USドル100円、1ユーロ118円を前提としている。
  202年3月期連結業績見通しは、売上高 3,650億円(前期比11.3%増)、営業利益 210億円(同14.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益 160億円(同6.6%減)。
 

 KYBの2021年3月期決算短信
 決算概要