日本製鋼所、2020年度売上は9.0%減の1,980億円、21年度予想は14.1%増の2,260億円

・産業機械部門は8.8%減の1,563億円

 ㈱日本製鋼所が5月10日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、受注高は、産業機械事業及び素形材・エンジニアリング事業が共に減少し、1,810億85百万円(前期比14.4%減)となった。売上高は、産業機械事業及び素形材・エンジニアリング事業が共に減少し、1,980億41百万円(同9.0%減)となった。損益面では、営業利益は102億26百万円(同45.3%減)、経常利益は107億24百万円(同46.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は68億93百万円(同2610%減)となった。

 なお、連結子会社である日本製鋼所M&E株式会社の退職給付債務の計算方法を簡便法から原則法に変更しており、この変更にともなう営業費用16億70百万円を計上している。

 2020年度における海外経済は、新型コロナウイルスの感染北大により経済活動が制限され、期初を中心に景気は急速に悪化した。感染症の影響は続いたが、各国で段階的に経済活動が再開されるなか、中国経済が早期に回復へ向かうなど、全体として徐々に持ち直す動きで推移した。国内経済も、感染拡大に伴う企業収益の悪化や設備投資の弱含みなどを背景として、一時的に景気の減速感が強まったが、第2四半期以降は輸出や生産に持ち直しの動きがみられるなど緩やかな回復が続いた。


 日本製鋼所グループを取り巻く経営環境は、産業機械事業では、新型コロナウイルスの感染拡大の際により需要は大幅に減少したが、巣ごもり需要の拡大を背景に日用品や家電関係を中心とする業種で設備投資再開の動きが広がり、第1四半期を底として需要は緩やかに持ち直した。素形材・エンジニアリング事業においては、世界的に設備投資を抑制する動きが継続し、需要減少に伴い競争が激化したほか、天然ガス田開発プロジェクトが遅れるなど、厳しい状況が続いた。

 このような状況のもと、日本製鋼所グループでは、2020年度を最終年度とする中期経営計画「JGP2020」に沿って、①経営資源の最適化とアライアンスの強化、②アフターサービス(ストック型ビジネス)の強化、◎新事業探索、育成の活性化の3つを基本方針として事業活動を推進した。

 日本製鋼所2021年3月期データ

■セグメント別業績
<産業機械事業>
 受注高は、成形機は増加したものの、樹脂製造・加工機械で大型案件の受注が次期にずれ込んだことから、1,452億78百万円(前期比10.7%減)となった。
 売上高は、樹脂製造・加工機械及び成形機が共に減少したことから、1,563億92百万円(同8.8%減となった。営業利益は、売上高の減少、棚卸資産評価損の計上などにより、139億58百万円(同27.6%減)となった。
<素形材・エンジニアリング事業>
 受注高は、クラッド鋼板・鋼管が減少したことから、327億60百万円(同29.1%減)となった。売上高は、鋳鍛鋼製品が増加したものの、クラッド鋼板・鋼管が減少したことから、385億17百万円(同10.2%減)となった。営業利益は、売上高の減少、固定費の増加などにより、18億73百万円(同32.8%減)となった。
<その他事業>
受注高は30億46百万円、売上高は31億32百万円、営業利益は6百万円となった。

■今後の見通し
 今後の経済見通しについては、足元では変異ウイルスの出現等により感染再拡大が進むほか、半導体不足や米中通商関係の動向等の不確実性はあるが、新型コロナウイルスのワクチン普及に伴う経済活動の正常化により、世界的に景気持ち直しの動きが続くことが期待される。

 日本製鋼所グループを取り巻く経営環境は、産業機械事業では、経済活動の回復に加え、電動化シフトをはじめとする自動車業界の設備投資拡大などを背景として、樹脂製品需要は堅調に推移していくことが見込まれる。素形材・エンジニアリング事業では、クラッド鋼板・鋼管の需要回復遅れの懸念がある一方、鋳鍛鋼製品の安定的な需要が見込まれる。

 このような中、日本製鋼所グループは長期ビジョンとして「従業員がワクワクして働ける会社」、「事業規模3,000億円への拡大・成長」を掲げ、これを実現するために2022年3月期を初年度とする5カ年の新中期経営計画「JGP2025」 を策定した。「JGP2025」においては、4つの基本方針(D世界に類を見ないプラスチック総合加工機械メーカーへ、の素形材・エンジニアリング事業の継続的な利益の確保、O新たな中核事業の創出、OESG経営の推進)に基づき、今後の事業活動を推進していく。

 また、日本製鋼所グループでは、新型コロナウイルス感染拡大による経営への影響を最小限に抑えるべく、顧客や従業員、その家族の安全と健康を第一として感染拡大防止に努めつつ、資金管理、生産・在庫の確認やサプライチェーンの確保等の措置を引き続き講じていく。

 なお、2022年3月期の連結業績見通しについては、売上高2,260億円(前期比14.1%増)、営業利益160億円(同56.5%増)、経常利益160億円(同49.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益110億円(同59.6%増)を予想している。


 日本製鋼所の2021年3月期決算短信