㈱前田製作所が5月14日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、売上高は、前年同期比9.6%減少の 33,478百万円となった。損益については、連結営業利益は前年同期比23.9%減少の1,411百万円、連結経常利益は前年同期比21.6%減少の1,515百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比21.8%減少 の998百万円となった。
2020年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響を受け、経済活動の停滞や個人消費が低迷するなか、各種政策の効果により一部持ち直しの動きが見られたものの、総じて厳しい状況が続いた。また、関係する建設業界においては、防災・減災対策や高度成長期に大量に整備されたインフラ 整備の老朽化対策を中心に公共投資は堅調に推移し、企業の設備投資にも持ち直しの動きが見られたが、新型 コロナウイルス感染症の終息が見通せないことで依然として厳しい状況が続いた
このような経営環境のもと、前田製作所グループは中期3ヵ年経営計画で目指す『成長の実現』に向け、2年目となる2020年度は『変化をチャンスに変える年』をスローガンに掲げ、 I.イノベーションの推進による成長と利益の確保、II.人財育成と技術の向上、III.安全・健康・コンプライアンス を重点戦略の柱として、常に「改善意識」を持ち「データに基づく行動」を実践することで外部環境の急速な変化 を追い風に変える活動をしてきた。
■セグメント別売上高の概要
<建設機械関連事業>
建設機械関連事業の売上高は、前年同期比2.1%減少の22,402百万円となった。 建設機械関連商品は、前年同期比4.9%減少の12,071百万円、建設機械関連レンタルは、前年同期比2.1%減少 の3,940百万円、建設機械関連サービスにおいては、前年同期比3.5%増加の6,390百万円となった。
<産業・鉄構機械等関連事業 >
産業・鉄構機械等関連事業の売上高は、前年同期比25.7%減少の8,875百万円となった。
産業機械関連製品は、前年同期比29.5%減少の4,692百万円、産業機械関連商品は、前年同期比11.3%減少の 1,261百万円となった。
鉄構機械関連製品においては、前年同期比22.7%減少の1,871百万円、産業機械関連その他は、前年同期比 27.2%減少の1,050百万円となった。
<介護用品関連事業 >
介護用品関連事業の売上高は、前年同期比3.9%増加の1,432百万円となった。
<その他 >
その他の事業の売上高は、前年同期比8.3%減少の768百万円となった。
■今後の見通し
2022年3月期における国内経済は、規模の縮小があるものの東京オリンピック・パラリンピック開催やワクチン接種の開始という経済活動の正常化に向けた動きなどもあり、緩やかな上向き傾向が続くとみられている。また、テレワークの拡大による住宅ニーズの高まりや自宅内消費など新しい生活様式に対応した需要の拡大、5Gの本格的普及、世界経済の回復などへも期待感が膨らんでいる。しかし、依然として新型コロナウイルス感 染症拡大の脅威は収まらず、緊急事態宣言発令による活動自粛再要請などの下振れリスクは大きく、今後も先行き 不透明な状況が続くと予想される。
前田製作所グループが関係する建設業界も、関連予算の執行による公共投資の底堅い推移が期待されるとともに、企業の設備投資についても不透明な部分はあるものの、機械投資を中心に持ち直しが期待されるが、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せないことで、先行きは不透明な状況が続くものと予想される。
このような経営環境下ではあるが、前田製作所グループは中期3ヵ年経営計画の最終年度となる今期、更なる経営 基盤の強化に努めていく。
また、前田製作所は今期、大きな変革を迎えようとしている。前田製作所、前田建設工業および前田道路 の3社は、将来的に経営環境が著しく変化していくと予想するなかで、グループ全体としてシナジーを最大化する ことが不可欠と考え、共同株式移転の方法により共同持株会社を設立し経営統合することについて、2021年2月、基 本合意に至った。これまで以上にグループ内の力を結集することで、収益力の向上と新たな収益基盤の確立、 技術開発やビッグデータの有効活用、デジタルツールの開発、人財育成をはじめとした経営資源の更なる強化をグ ループ全体として進めていく。
なお、現在の前田製作所組織を前提に算定した2022年3月期の連結業績予想は、売上高35,700百万円(前期比6.6増)、営業利益1,680百万円(同19.0%増)、経常利益1,750百万円(同15.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,100百万円(10.2%増)を見込んでいる。
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