芝浦機械が5月12日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、受注高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより設備投資へ慎重な動きが見られたことから886億1千9百万円(前年度比5.9%減)、売上高は926億3千5百万円(同20.7%減)となった。営業利益は3億8千1百万円(同89.2%減)、経常利益は8億7千2百万円(同77.2%減)、親会社株主に帰属する2020年度純損失は、繰延税金資産の取崩し等により、28億9千8百万円(前年度は純利益73億3千8百万円)となった。
2020年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、前半は厳しい状況が続いたが、後半は経済活動の再開が徐々に進み、回復が見られた。国内経済も輸出や生産に持ち直しの動きが見られた。しかし、新型コロナウイルス感染症再拡大や需要の急増を背景としたサプライチェーンの混乱等により、先行き不透明な状況となっている。芝浦機械グループが属する機械業界も2020年度は国内外とも設備投資需要は低調に推移したが、中国や米国などを中心に特に後半で回復が進んだ。
このような経済環境のもとで、芝浦機械グループは中期経営計画である「経営改革プラン」に基づき、高収益企業への変革に向けて、組織再編を中核とした経営改革、成長分野に対応した投資の推進、資本効率(ROE)の向上を目指した財務戦略の実行に取り組んでいる。
■セグメント別概況(2020年度より報告セグメントの区分を変更。
<成形機事業>[射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機など]
射出成形機においては、販売は北米、中国で増加したものの、国内、東南アジアが減少した。受注は北米、中国、インドで顕著な回復が見られ、増加した。
ダイカストマシンにおいては、国内外とも設備投資需要が軟調に推移したため、販売と受注が減少した。
押出成形機においては、販売は減少したものの、国内の環境に配慮した新素材用シート・フィルム製造装置が増加した。受注は中国の二次電池向けシート・フィルム製造装置および光学用シート・フィルム製造装置が増加した。
この結果、成形機事業全体の受注高は637億1千1百万円(前年度比1.0%増)、売上高は643億8百万円(同16.7%減)、営業利益は11億5千7百万円(同69.1%減)となった。
<工作機械事業>[工作機械(大型機、門形機、横中ぐり盤、立旋盤など)、精密加工機など]
工作機械においては、国内外で産業機械向けおよび建設機械向けの販売と受注が減少した。なお、年度後半では国内、北米、中国などで設備投資に回復が見られた。
精密加工機においては、販売は光学系金型向けで国内が増加したものの、中国、台湾が減少した。受注は国内外で光学系金型向けが減少した。
この結果、工作機械事業全体の受注高は174億3千7百万円(前年度比23.6%減)、売上高は208億6千6百万円(同29.7%減)、営業損失8億2千8百万円(前年度は営業利益3億円)となった。
<制御機械事業>[産業用ロボット、電子制御装置など]
制御機械事業においては、中国の電子デバイス・スマートフォン等の組立自動化設備向けは堅調に推移したが、国内の設備投資先送りなどを受けて、販売と受注が減少した。
この結果、制御機械事業全体の受注高は61億5千万円(前年度比5.0%減)、売上高は58億3千8百万円(同15.8%減)、営業損失は3千9百万円(前連結会計年度は営業損失3千9百万円)となった。
<その他の事業>
その他の事業全体の受注高は13億1千9百万円(前年度比27.1%減)、売上高は16億2千万円(同44.9%減)、営業利益は3千5百万円(前年度は営業損失5億2千8百万円)となった。
■次期の見通し
今後の経済環境は、米国・中国経済の回復や国内における経済活動の再開により景気は回復基調となるものの、地政学的リスクや国内外における新型コロナウイルス感染症拡大の影響、世界的な半導体不足をはじめとしたサプライチェーンの混乱など、依然先行き不透明な状況が続くものと考えられる。
このような状況のもと、世界市場の需要動向を見極めたうえで、脱炭素化社会の実現へ向けた自動車のEV化や風力発電などの再生可能エネルギー関連へ対応した商品の提供と開発、海外工場での調達と生産の規模拡大によるグローバル供給体制の強化、商品力・生産性の向上を目指したDX戦略の推進など、各施策を加速していく。また、中期経営計画「経営改革プラン」に基づき、高収益企業への変革に向けて、組織再編を中核とした経営改革、成長分野に対応した投資の推進、資本効率(ROE)の向上を目指した財務戦略の実行に取り組んでいく。
2022年3月期の見通しについては、売上高1,060億円(前年度比14.4%増)、営業利益27億円(607.1%増)、経常利益22億円(152.0%増)、親会社株主に帰属する2020年度純利益10億円を予想している。
なお、通期見通しにあたっての為替レートは、1米ドル=103円を前提としている。
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