北越工業、2020年度売上は21.2%減の329億円、21年度予想は6.3%増の350億円

 北越工業が5月10日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、売上高32,929百万円(前期比21.2%減)は、営業利益2,489百万円(同53.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,944百万円(同46.3%減)となった。

 2020年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続くなか、政府による各種支援制度の効果や輸出の持ち直しなどにより回復の兆しが見られたが、感染の再拡大に伴い2021年1月に2度目の緊急事態宣言が再発出され、経済活動に与える影響が懸念された。世界経済においては、年度初めは新型コロナウイルス感染症の拡大によって経済活動が大きく停滞したが、年度後半はワクチンの接種が開始された他、各国政府の経済対策により持ち直しの動きがみられた。

 このような情勢のなかで北越工業グループは、感染拡大防止により展示会が相次いで中止となり、商談などの販売活動にも制約を受けるなか、Webによる製品・サービス情報の発信も併用し、受注獲得に努めた。また、全社的な原価改善活動や経費削減を推進し、利益改善を図った。

 北越工業2020年度データ

<建設機械事業>
 建設機械事業セグメントは、主にエンジンコンプレッサ、エンジン発電機、高所作業車などの事業で構成している。

 販売面では、国内は防災・減災、国土強靭化に沿った公共工事は堅調に推移したが、新型コロナウイルス感染症の影響によって民間投資の新規建設工事は停滞しており、需要は低迷した。海外においては、いち早く感染症の拡大を抑制した中国は堅調に推移したが、東南アジアでは感染拡大に歯止めがかからず低調に推移した。北米では需要の大幅な減少の後、経済の回復に伴って流通在庫過多が解消に向かったが、世界的な海上輸送用のコンテナ不足により出荷が滞り、総じて前年同期比で減収となった。利益面では、製品の受注低迷に加え工場の操業調整を行った結果、前年同期比で減益となった。

<産業機械事業>
 産業機械事業セグメントは、主にモータコンプレッサ、非常用発電機、部品、サービスなどの事業で構成している。

 販売面では、新型コロナウイルス感染症の影響による企業の設備投資の抑制で、主力のモータコンプレッサの需要は低迷したが、災害発生時におけるガソリンスタンドのバックアップ用や、河川氾濫に備えた排水ポンプ用などの非常用発電機が伸長した結果、前年同期比で横ばいとなった。利益面では、コロナ渦であっても部品、サービス部門は底堅く推移し、経費の抑制を図り利益確保に努めたが、主力製品の落ち込みと工場の操業調整の影響をカバーすることが出来ず前年同期比で減益となった。

■次期の見通し
 今後の見通しについては、足元では国内は新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の減少が確実なものとはならず、海外でも一部の地域で変異ウイルスの感染拡大が進行している状況のなか、今後はワクチンの普及や各国政府の追加経済対策により、回復基調に転じるものと予想される。

 このような経済環境の下、北越工業グループはこれまで培ってきたコア技術を基盤に、変化するニーズに沿った製品展開を図り、持続的な企業価値の向上を目指していく。

 販売面では、経済の回復に沿って設備投資意欲の高まりが見込まれるため、的確に情報収集を図り建設機械、産業機械の需要減少からの反動増の機会を確実に取り込んでいく。
 
 技術面においては、低燃費、省電力化の追求や、世界各国におけるエンジン排気ガス規制への対応、製品で使用している油脂類漏れによる土壌・水質汚染防止構造の採用など、環境配慮型製品の拡充に努める他、2020年10月1日に発表した㈱神戸製鋼所とのOEM契約により、製品ラインアップを強化していく。

 製造面では、一貫生産の強みを活かした生産工程の拡充に向け、多品種少量生産ラインの自動化、省人化を展開し、製造原価の低減、品質向上を図っていく。

 海外においては、各国で経済活動に持ち直しの動きがみられるなか、特に北米については需要が回復傾向にある。生産部門を持つ米国子会社「AIRMAN USA CORPORATION」では、生産能力の向上を図った新工場への移転を昨年に完了しており、その他の地域でも今後見込まれる需要減少からの反動増に的確に対応していく。

 通期の連結業績は、売上高35,000百万円(前年同期比6.3%増)、営業利益3,130百万円(同25.7%増)、経常利益3,200百万円(同9.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,160百万円(同1.1%増)を予想している。
 
 なお、本業績予想の為替レートは、1米ドル=105円、1ユーロ=125円を前提としている。

 北越工業の2021年3月期決算短信