住友重機械工業が5月10日に発表した2021年3月期(2020年度)の連結業績によると、受注高は8,139億円(前期比12.0%減)、売上高は 8,491 億円(同1.8%減)となった。損益面については、営業利益は 513 億円(同9.6%減)、経常利益は 495 億円(同5.9%減)となり、特別損失として船舶部門等で 58 億円の減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する純利益は 268 億円(同18.4%減)となった。また、税引き後 のROIC*は 6.1 %となった。
*ROICとは、投下資本税引後利益率であり、投下資本株主資本と有利子負債の合計金額 に対してどれだけ利益を出しているか、資本のコストに見合う収益性があるかを示す指標。
■2020年度の経営概況
2020年度における住友重機械工業グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、国内においては、緊急事態宣言の発出やその後の経済活動の停滞が見られ、海外においては、パンデミックによるロックダウンやそれに伴う経済状況の低落が見られるなど、機械需要は全世界的に下降局面を迎えることになった。また、これに加え、米中貿易摩擦の深刻化、地政学上のリスクの継続及び原油価格の変動と低迷など、不透明感も増すことになった。このような経営環境のもと、住友重機械工業グループは、従業員の安全確保や社 会的要請への最大限の協力など新型コロナウイルス感染に対する対処を進め、罹患者発生時における生産維持などの短期的な BCP (事業継続計画)の実現や受注減少局面での事業維持、工場操業の確保などに取り組んできた。
■部門別事業の状況(カッコ内は前期比増減)
<機械コンポーネント部門>
全世界的に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、受注、売上、営業利益ともに減少した。この結果、受注高は 1,241 億円(2%減) 、売上高は 1,222 億円(6%減)、営業利益は 22 億円(60 %減)となった。
<精密機械部門>
プラスチック加工機械事業は、中国の電気電子関連の需要の回復や欧米での需要の増加により受注は増加したが、受注から売上までリードタイムがあることから売上は減少した。一方、 機種構成等 が変化したことから営業利益は増加した。その他精密機械事業は、半導体関連の需要が調整局面で受注は減少したものの、受注残があったことから売上は前年並みとなり営業利益は増加した。この結果、受注高は 1,623 億円(15 %減)、売上高は 1,769 億円(4%減)、営業利益は171 億円(15 %増)となった。
<建設機械部門>
油圧ショベル事業は、国内市場が堅調であったことや北米地区の需要が回復してきたことから受注は増加したが、受注から売上までリードタイムがあることから売上は減少し、売上の減少に加え品質コストの負担もあり営業利益も減少した。建設用クレーン事業は、北米地区の需要が回復してきたものの新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け需要が減少したことから、受注、売上、営業利益ともに減少した。この結果、受注高は2,537億円(2%減)、売上高は 2,487 億円(9%減)、営業利益は 61 億円(64 %減)となった。
<産業機械部門>
運搬機械事業は、電力・港湾向けの需要や物流システムが堅調であったことから受注は増加し、受注残があったことから売上、営業利益も増加した。その他産業機械事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、受注、売上、営業利益ともに減少した。この結果、受注高は 863 億円(2%減)、売上高は 932 億円(7%増)、営業利益は 85 億円(20 %増)となった。
<船舶部門>
船舶事業は引き続き低迷しているが、2020年度は前期と同じ3隻の新造船を受注した。引渡しは前期と同じ 4 隻で、売上は増加したが、前年に引き続き営業損失となった。この結果、受注高は 293 億円(3%減)、売上高は 340 億円(3%増)、営業損失は 27 億円となった。
<環境・プラント部門>
エネルギープラント事業は、国内や欧州でバイオマス発電設備の大型案件を受注したことなどから受注は増加し、主に国内で受注残があったことから売上、営業利益ともに増加した。水処理プラント事業は、排水処理装置の案件が前期に比べ減少したことなどから受注は減少したが、受注残があったことから売上、営業利益は増加した。この結果、受注高は 1,524 億円(22 %増)、売上高は 1,680 億円(13 %増)、営業利益は 181 億円( 52 %増)となった。
<その他部門>
受注高は59 億円(18%減)、売上高は 60 億円( 17 %減)、営業利益は 21 億円( 13 %減)となった。
■決算期を12月に変更、グローバル化の加速に対応
同社は、事業活動のグローバル化が加速する中、決算期を12月末に変更すると発表した。グローバル経営基盤を強化するとともに、統一会計期間でのタイムリーな業績把握開示の実現を図る。決算期変更の経過期間となる第127期は、2022年4月1日から2022年12月31日までの9カ月決算となる予定。また、セグメント別の内容も変更する。
しがって現時点での2022 年3月期の連結業績見通しは、以下のとおり。
売上高8,700億円(前期比2.5%増)、営業利益500億円(同2.6%減)、経常利益460億円(同7.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益270億円(同0.9%増)。
為替レートは1ドル= 105 円、1ユーロ= 125 円を前提としている。
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