IHI、世界初 搬送中ケースの賞味期限自動読取システムを米スタートアップと開発

・深層学習(AI)により多様な印字パターンの認識を実現、作業効率化・省人化・廃棄食品削減

 ㈱IHIとグループ会社である㈱IHI物流産業システム(本社:東京都江東区、以下ILM)は4月27日、米国ボストンを本拠地とするNeurala社と、物流倉庫において入出荷される食品段ボールケースの賞味期限をコンベア搬送中に自動で読み取り可能な賞味期限自動読取入出荷検品システムを世界で初めて開発したと発表した。同システムには、Neuralaの深層学習(以下AI)による文字認識技術を搭載している。

 物流倉庫では、入出荷される商品の在庫を適切に管理するため、作業者の手入力による賞味期限の検品作業が行われているが、労働力人口の減少により、人員の確保が課題となっている。また食品流通の現場においては、食の安全確保やフードロス削減に向けた社会的ニーズの高まりから、徹底した食品の在庫管理が求められている。

 IHIとILMはこのような課題を解決するため、2019年度より、AIによる画像認識を中心とした技術開発を行う米国スタートアップ企業のNeuralaと共同で、ケースごとに側面の様々な場所に印字された賞味期限を、瞬時に自動で文字認識する本システムの研究開発を行ってきた。

 同システムでは、コンベアで搬送されるケース側面の写真を撮影し、AIを活用した文字認識技術を活用することで、多様な印字パターンの賞味期限を検出する。その結果を元に、商品特性や顧客特性等の条件を加味し、システムで総合的な判定を行った上で、日付データとして倉庫管理システムに登録することが可能。また、バーコード情報やケースサイズ・重量などの計測情報と紐づけることで、賞味期限を含むあらゆる商品情報を一元的にシステム管理することができるようになる。

 同システムの活用により、これまでの人手による入出荷時の検品作業を大幅に効率化、省人化できるとともに、日付入力ミスによる誤出荷や賞味期限切れ商品の廃棄を削減することで、在庫管理品質の向上を実現する。

 ILMは現在、同システムを活用し、複数の顧客の現場にてトライアル運用を実施しており、今後も継続して同システムの性能改善を行い、段階的な顧客へのトライアル運用・実装販売を目指す。

 IHIとILMは、本システムを含めた検品・在庫管理・仕分け等の情報システム、ならびにロボットや自動倉庫システム等を組み合わせた自動化・省人化設備のラインアップにより、顧客の課題を解決する総合的な物流ソリューション提供に取り組んでいく。

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