日立建機が4月27日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、売上収益は、新型コロナウイルスの影響に伴う市況悪化による、新車販売・部品サービスの減少や、設備投資抑制によるマイニング新車販売・部品サービスの減少があり、注力するバリューチェーン事業の中でレンタル・中古車の売上は前年度比で増加したものの、円高基調で推移した為替の影響(92億円)等により、全体では8,133億3千1百万円(前年同期比△12.7%)の減収となった。
連結の利益項目については、調整後営業利益は、売上収益の減少や売上原価率の上昇、為替の円高影響等により、327億1千万円(同△57.3%)、親会社株主に帰属する当期利益は、調整後営業利益の減少に加え、主として海外拠点関連会社の持分法による投資損益の減少、非支配持分損益の拠出増が影響し、103億4千万円(同△74.9%)となった。
日立建機グループは、これまでも注力してきたバリューチェーン事業をさらに強化するために、2020年度を初年度とする中期経営計画「Realizing Tomorrow’s Opportunities 2022」で、引き続き顧客とのあらゆる接点において、最先端のデジタル技術を活用することで、深化したソリューションを提供すると共に、変化に強い企業体質への転換に取り組んでいる。
■セグメント業績
①建設機械ビジネス
2020年度における油圧ショベル需要は、欧米等の先進国市場においては新型コロナウイルスの影響で前年度を下回った一方、主に中国での大幅な回復により全体では前年度を上回った。また、マイニング機械は鉱山会社による設備投資の抑制が続いており、特に中小規模鉱山会社からの需要が減少した。
この結果、2020年度の売上収益は、レンタル・中古車が増加したものの、各国のロックダウン影響を受けて新車販売、部品サービスが減少、為替の円高影響等も加わり、7,342億7百万円(同△12.7%)となった。
調整後営業利益は、売上収益の減少や為替の円高影響等により、257億9千8百万円(同
△62.4%)となった。
②ソリューションビジネス
同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E PartsInternational LLC及びその子会社で構成されている。
2020年度の売上収益は、需要減少を受け、824億3千7百万円(同△10.4%)となった。調整後営業利益は、売上収益の減少により、69億1千2百万円(同△14.6%)となった。
なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。
■今後の見通し
2022年3月期(2021年度)の油圧ショベル需要見通しは、現時点では、市況回復に伴い主要地域で2020年度に比較して増加するものの、中国で稼働台数に余剰感が出てきたことで2021年度は大きく減少すると見込み、世界全体では約22万台(前年比△4%)になるものと想定している。
マイニング機械においては、新車の需要は足元では厳しい状況が続いているが、一部地域で回復の兆しが見え、2021年度の後半から少しずつ好転するものと見込んでいる。新型コロナウイルスの影響下で鉱山の操業は一部地域では稼働停止となった現場があり、これに伴い日立建機の部品サービス事業やソリューションビジネスも減少傾向で推移していたが、世界景気の回復に伴い鉱山の投資意欲も徐々に回復するものと見ている。
以上の市況予測を踏まえ、2022年3月期連結業績予想(2021年4月1日~2022年3月31日)は、現時点のさまざまな懸念材料を勘案し、下記のとおりとした。
売上収益8,800億円(前期比8.2%増)、調整後営業利益620億円(同89.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益323億円(同212.4%増)。
業績見通しの前提となる為替レートについては、米ドル105円、ユーロ125円、人民元15.5円、豪ドル73円を想定している。
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