ファナック、2020年度売上は8.5%増の5,512億円、21年度見通しは19%増の6,571億円

 ファナックが4月27日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、売上高が5,512億87百万円(前期比8.5%増)、経常利益が1,287億44百万円(前期比25.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が940億12百万円(前期比28.1%増)となった。

 2020年度におけるグループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、世界的に設備投資の減少傾向が続くなど、厳しい市場環境となったが、中国がいち早く回復したほか、その他の地域も第2四半期頃から緩やかに回復してきた。

 このようななか、ファナックでは、新型コロナウイルスの感染拡大防止を最優先としつつ、顧客への商品の供給とサービス活動の継続に努めてるともに、市場環境の変化に対処すべく、経費削減、業務の効率化など企業体質の強化を図った。

 なお、2020年度において、「安全性」「使いやすさ」「高信頼性」の全てを兼ね備えた新型協働ロボット「ファナック ロボット CRXシリーズ」が「2020年日刊工業新聞十大新製品賞 本賞」「2020年日経優秀製品・サービス賞 日経産業新聞賞」および「第9回ロボット大賞 経済産業大臣賞」を受賞した。

 ファナック2021年3月期データ

■部門別状況

<FA部門>

 FA部門については、CNCシステムの主要顧客である工作機械業界の需要は、中国ではいち早く回復し好調に推移した。インドでも、農機、二輪車関係を中心に需要が回復している。これまで需要が低調に推移していた国内や欧州、韓国、台湾でも、中国市場向けをはじめとして機械の輸出需要が少しずつ増えてきた。これらの結果、ファナックグループのCNCシステムの売上高は前年度に比べ増加した。

 レーザについては、中国市場および欧州市場で回復基調にあるが、海外メーカとの厳しい競争が継続している。

 FA部門の連結売上高は、1,492億40百万円(前期比4.2%増)、全連結売上高に対する構成比は27.1%となった。

<ロボット部門>

 ロボット部門については、米州では一般産業向けが堅調で、自動車産業向けもEV関連の需要を取り込み、売上が増加した。また、中国でIT関連のほか、EV、建機、重機、その他の機械加工向けも加わり、売上が好調に推移した。欧州では、一般産業向けは堅調だったが、自動車産業向けが設備投資の谷間となり、前年同期に比べて売上が減少したほか、国内では売上が低調に推移した。

 ロボット部門の連結売上高は、2,100億24百万円(前期比3.7%増)、全連結売上高に対する構成比は38.1%となった。

<ロボマシン部門>

 ロボマシン部門については、ロボドリル(小型切削加工機)は、期の後半から中国を中心に、パソコン、タブレット、スマートフォン市場向けの需要が急増したため、売上が増加した。ロボショット(電動射出成形機)も、期の後半から中国、欧米を中心に、IT関連、医療市場向けの需要が増加し、売上が回復した。ロボカット(ワイヤカット放電加工機)については、期の後半から回復したが、年間では売上が減少した。

 ロボマシン部門の連結売上高は、1,145億18百万円(前期比52.9%増)、全連結売上高に対する構成比は20.8%となった。

<サービス部門>

 サービス部門については、第1四半期における世界各地でのロックダウンなどによる影響を受け、顧客の工場の稼働停止や工場の稼働率低下等により、ファナックサービスへの依頼が減少したものの、その後ファナックサービスへの依頼は回復した。

 サービス部門の連結売上高は、775億5百万円(前期比11.5%減)、全連結売上高に対する構成比は14.0%となった。

■2021年度売上見通しは、19.2%増の6,571億円

 今後しばらくの間、FA、ロボット、ロボマシンの各分野において、IT関連など様々な分野で旺盛な需要が見込まれることから、2021年度(2022年3月期)の連結業績予想を以下のとおりとした。

 売上高6,571億円(前期比19.2%増)、営業利益1,484億円(同31.9%増)、経常利益1,645億円(同27.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,205億円(同28.2%増)。

 為替レートは、平均105円/ドル、125円/ユーロを想定している。

 ファナックの2021年3月期決算短信

 2020年度決算説明会資料