オークマ、2020年度売上は28%減の1,234億円、21年度見通しは27%増の1,570億円

 オークマが4月27日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、受注額は124,259百万円(前期比11.5%減)、売上高は123,394百万円(同28.3%減)、営業利益は4,820百万円(同67.9%減)、経常利益は5,459百万円(同64.9%減)、親会社株主に帰属する2020年度純利益は2,088百万円(同80.5%減)となった。

■経営成績の概況

 2020年度の世界経済は、期初においては新型コロナウイルスの感染拡大により消費活動や経済活動が大きく停滞し、その後、徐々に持ち直す動きの中で推移した。期の後半からは、有効性が高いとみられるワクチンの接種が開始されたほか、各国政府による経済対策等により、景気回復の足取りは確かなものとなった。

 工作機械の需要動向については、2020年4月から5月の最悪期を経て、感染拡大の落ち着きに伴い、回復に向かった。

 米国市場では、需要は大幅な減少の後、回復傾向で進んだ。自動車関連をはじめ、建設機械、農業機械等、幅広い分野で設備計画が再開され、投資に慎重とされる航空機関連においても、生産効率化を目的に生産設備の刷新等を図る企業が見られた。更に設備投資の動きは中・小規模事業者にも広がった。

 欧州市場では、中国向けの輸出増加等を背景に製造業の景況感に改善が見られ、ウイルス感染拡大の影響を強く受けた南欧諸国においてもEU復興基金の経済対策への運用決定の後押しもあり、設備投資が活発化し始めた。

 中国市場は、いち早く持ち直しに向かい、コロナ禍以前から続く建設機械関連からの需要は堅調に推移し、更に風力発電等のインフラ関連、自動車関連等、幅広く設備投資の動きが加わり、工作機械の需要はコロナ禍前の水準を超えるまで回復し、拡大基調が続いた。

 国内市場では、半導体製造装置や建設機械関連からの需要は底堅く推移した。また、感染の再拡大に伴う2021年1月の緊急事態宣言の再発出により足踏みしながらも、自動車関連をはじめ幅広い業種において需要は緩やかに持ち直しに向かった。

 オークマ2021年3月期データ

■今後の見通し

 今後の世界経済は、足下では欧州を中心に新型コロナウイルスの変異種の感染拡大が進み、国内でも新規感染者数の減少が見られない状況だが、コロナワクチンの普及によって感染を押さえ込んでいく中で、各国政府による追加経済対策等により回復の足取りが強まることが予想される。

 工作機械の需要動向については、この新常態におけるものづくりで顕在化した新たな自動化・省人化の需要が本格化することが見込まれる。そして非接触での安心、安全のための自動化・無人化のニーズは、従来の労働力不足への対応に加えて、新たな需要の拡大を見込んでいる。更には脱炭素社会に向けた自動車の電動化、風力発電など再生可能エネルギーの社会インフラ構築に、新たな成長領域を見込んでいる。

 このような経営環境の下、当企業グループは、これまで培ったスマートマシン、スマートマニュファクチャリング技術を土台に、自動化・無人化、工程集約、デジタル革新・DX、脱炭素化への取り組みで「総合ものづくりサービス」企業として成長していく。

 営業面では、世界的な設備投資の回復が見込まれる中、コロナ禍を機に定着したリモートでの商談、Webセミナー、バーチャルショールーム等を展開し、リアルとバーチャルの両面から顧客体験価値を拡張すると共に、国内及び海外の販売・サービス拠点・販売網の拡充、強化を図ることにより地域に密着した顧客対応や販売促進策を展開し、販売拡大に注力していく。また、デジタル投資による需要や脱炭素社会に向けた新たな需要を取り込み、販売拡大を加速していく。

 技術面では、独自のAI・知能化技術の開発、デジタル活用を更に加速させ、これらを搭載したスマートマシンの開発を進めていく。次世代ロボットシステム「ROID」シリーズ等、自動化・無人化システムの更なる充実を図り、自動化・無人化ソリューションを提案して需要を喚起していく。また、自動車の電動化、再生可能エネルギーの社会インフラ構築等、脱炭素化への社会的な要請に応える技術・ソリューションの開発、環境配慮型製品の拡充を進め、オークマの成長につなげていく。

 製造面では、オークマ製品の強みを活かした生産工程の革新を展開し、超多品種少量生産の自動化等、次世代製造技術による生産効率の向上、コストダウンの拡大を図っていく。また、自社工場スマートファクトリーにおいて革新技術の実証を推し進めオークマブランドに対する信頼を一層高めていく。更に本社工場、可児工場の再開発を進め、自己完結一貫生産体制の一層の強化を図っていく。

 海外では、生産子会社「大同大隈股份有限公司」(台湾)の生産力を強化し、世界的に高まる「GENOS」シリーズの需要に応え、顧客基盤の拡大を図っていく。また、生産子会社「北一大隈(北京)机床有限公司」(中国)の製品ラインアップを拡充し、製品競争力を強化すると共に生産子会社「大隈(常州)机床有限公司」(中国・江蘇省)の現地調達及びエンジニアリング力を強化し、中国・アジア市場での売上拡大を図っていく。

 調達面においては、グローバル調達網の再整備、協力会社への技術支援等、BCPの観点からサプライチェーンの強化の取り組みを推進していく。

 オークマグループは、長年に亘り培ってきた「機電情知(機械・電気・情報・知識創造)」融合の強みを展開し、自動化・無人化の対応力、デジタル革新・DXの提案力、トータルソリューションの提供力の強化を図っていく。

 そして今期の営業、技術、製造の戦略を進めながら、脱炭素社会の実現に向けた社会的要請やデジタル革新等の経済社会の変化を捉えて成長していく。

 以上により、次期の連結決算の業績予想については、下表のとおりである。

 売上高1,570億円(前期比27.2%増)、営業利益110億円(同128.2%増)、経常利益115億円(同110.8%増)、親会社株主に帰属する2020年度純利益75億円(同259.1%増)。

 オークマの2021年3月期決算短信

 決算発表(参考資料)