竹内製作所、21年2月期売上は3.2%減の1,122億円、次期見通しは9.8%増の1,233億円

 ㈱竹内製作所が4月9日に発表した2021年2月期(2020年3月~21年2月、2020年度)連結業績によると、売上高は、1,122億5千4百万円(前年度比3.2%減)となった。利益面については、売上高は減少したものの、製品販売価格の値上げ、出荷台数の減少に伴う運搬費の減少、及びコロナ禍による事業活動の縮減に伴う販売促進費や旅費交通費の減少等により、営業利益は132億7百万円(同4.4%増)、経常利益は132億9千8百万円(同7.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用を35億3千2百万円計上したため、97億6千5百万円(同7.4%増)となった。

■経営成績の概況

 主力市場である米国及び欧州の2020年度の経済は、概ね以下のとおり推移した。第1四半期は新型コロナウイルスの感染拡大により、企業の投資マインドは全世界的に著しく縮小し、外出規制と雇用環境の悪化による個人消費の急速な冷え込みとともに、住宅需要も一気に落ち込んだ。

 第2四半期に入るとロックダウンは解除され、欧米先進諸国は段階的に経済活動を再開し、景気悪化はいったん底打ちした。しかし、第3四半期以降も依然として新型コロナウイルスの脅威は続いており、第4四半期には感染力が強い変異株が相次いで報告され、各国政府はロックダウン等の規制措置の強化や延長を余儀なくされた。国内外で始まったワクチン接種の進展とともに、社会経済活動の正常化も進むとの期待が膨らんではいるものの、今後の見通しは不透明要因が多く、予断を許さない状況が継続している。

 このような環境下、竹内製作所グループは、2020年1月には油圧ショベル「TB370」、2020年2月にはクローラーキャリア「T C R 5 0 – 2」、2 0 2 0年4月にはクローラーローダー「T L 8 R – 2」、2 0 2 0年8月にはミニショベル「TB257FR」、2021年2月にはミニショベル「TB325R」を市場投入した。

 上期においては、欧米各国でのロックダウンや外出規制をはじめとした様々な感染拡大防止策の影響により、ディストリビューター及びディーラーの営業活動は大きく制限された。第3四半期に入ると制限は緩和され、繰越需要も相まって製品需要はコロナ禍前の水準へと回復に向かい、第4四半期では、製品需要は更に高まり、前年同期を大きく上回る販売台数となった。しかし、上期の落ち込みを取り戻すまでには至らず、2021年2月期の販売台数は前年に比べ減少した。

 竹内製作所2021年2月期データ

■セグメント別経営成績

(日本) 日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められている。2020年1月に市場投入した油圧ショベルの新製品「TB370」が好調に推移したものの、欧州ディストリビューター向けの販売台数は、新型コロナウイルスの影響により第3四半期までは減少したが、第4四半期は前年同期を大きく上回った。しかし、第3四半期までの落ち込みを取り戻すまでには至らず、2020年度の販売台数は減少し、売上高は445億2千9百万円(前年度比2.6%減)となった。セグメント利益は、欧州ディストリビューター向けの値上げや出荷台数の減少に伴う運搬費の減少等の増益要因はあったものの、売上高が減少したこと及び主要通貨が総じて円高に推移したこと等により79億2千9百万円(同19.6%減)となった。

(米国) 新型コロナウイルスの影響で営業活動が大きく制限されたこと等により、上期の販売台数は減少した。営業活動の再開とともに繰越需要が表面化したほか、コロナ禍の長期化による郊外での住宅需要の高まりと合わせて、米国各地で住宅関連工事が盛んに行われており、下期の販売台数は前年同期を上回った。2020年4月に市場投入したクローラーローダーの新製品「TL8R-2」が好調に推移したものの、上期の落ち込みを取り戻すまでには至らず、2020年度の販売台数は減少し、売上高は522億5千2百万円(前年度比1.8%減)となった。セグメント利益は製品販売価格の値上げ、プロダクトミックスの変化、及び日本セグメントからの製品仕入価格の値下げ等により45億2千6百万円(同26.8%増)となった。

(英国) EU離脱後の通商交渉の不透明感に加えて、新型コロナウイルスによるロックダウンの影響が重なり、上期の販売台数は大きく減少したが、経済活動の再開とともに繰越需要が表面化し、下期の販売台数は前年同期を大きく上回った。しかし、上期の落ち込みを取り戻すまでには至らず、2020年度の販売台数は減少し、売上高は85億7百万円(前年度比16.4%減)となった。セグメント利益は売上高が減少したものの、製品販売価格の値上げ、日本セグメントからの製品仕入価格の値下げ等により6億5千7百万円(同19.2%増)となった。

(フランス) 新型コロナウイルスによるロックダウンの影響等により、上期の販売台数は減少したが、経済活動の再開とともに繰越需要が表面化し、下期の販売台数は前年同期を上回った。この結果、上期の落ち込みを取り戻し2020年度の販売台数は前年を上回り、売上高は69億1千4百万円(前年度比5.6%増)となり、セグメント利益は日本セグメントからの製品仕入価格の値下げ等により4億4千万円(同34.8%増)となった。

(中国) 新型コロナウイルスの影響により減産を余儀なくされたため固定費率が上昇したこと、及びたな卸資産の評価損を計上したこと等によりセグメント利益を圧迫した。この結果、売上高は5千万円(前年度比77.8%減)となりセグメント損失は2億1千万円(前年度は4千6百万円のセグメント利益)となった。

■2022年2月期の見通し

 同社の主力販売市場は米国及び欧州であり、2020年度の業績は、上期においては新型コロナウイルスの影響を大きく受けて後退したが、下期においては製品需要が順調に回復し、売上高、利益面ともに前年同期を上回って着地した。これは、製品が社会インフラを支える事業(エッセンシャル事業)に必要不可欠であり、コロナ禍にあっても土木工事が急ピッチで再開され、繰越需要が顕在化したため。この好調な販売状況は、欧米ともに2021年度も継続し、2020年度を大きく上回る販売台数を見込んでいた。しかし、全世界的な半導体不足により、一部機種の生産・販売に影響を受ける見込みだが、2022年2月期(2021年度)の連結売上高は2020年度に比べて9.8%増加の1,233億円となる見通し。

 利益面については、営業利益は121億円(前年度比8.4%減)、経常利益は122億円(同8.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は89億円(同8.9%減)となる見通し。これは、販売価格の値上げ、販売台数の増加、及び前提為替レートを円安に設定したことによる増益を見込んだものの、鋼材を主とした原材料コストの上昇、及び日本から欧米に向けての生産・出荷台数の増加とともに、欧米向けの海上運賃の急騰による運搬費の大幅増を見込んだこと等によるもの。

 前提となる為替レートは、米ドル107円、英ポンド148円、ユーロ127円、人民元16.4円。

 ㈱竹内製作所2021年2月期決算短信

 2021年2月期決算参考資料