㈱タダノは4月2日、ドイツ子会社である Tadano Demag GmbH(以下、TDG)と Tadano Faun GmbH(以下、TFG)は現地法に基づく事業再生手続きを進めていたが(詳細は2020年10月8日開示)、ツヴァイブリュッケン裁判所から、現地時間3月31日をもって再生計画を最終承認し公的支援である防護的保全手続き(Protective Shield Proceeding)を終了する、との通知を両社が受領したことを昨日4月1日に確認したと発表した。なお、本件がタダノの業績に与える影響等については現在精査中であり、開示すべき事由が発生した際に は速やかに開示するとしている。
1.経緯
タダノは長期目標である「LE(=Lifting Equipment)世界 No.1」達成に向けた施策として 2019年7月、ドイツの Demag ブランドのクレーン事業を買収した。これにより、オールテレーンクレーンの更なる拡充とクローラクレーンという新たな製品ラインナップを加え、タダノグループは顧客の幅広いニーズに対応することが可能となった。
買収以来、TDGと既存のTFG は統合活動を進め、グループとしてのシナジー効果発揮と早期の黒字化を 目指してきた。しかし、昨年発生した新型コロナウイルス感染症の影響によって、世界のクレーン需要は停滞し、欧州事業の黒字化に向けた計画にも大きな遅れが生じる見通しが判明した。
このような状況を踏まえ、TDG・TFG は2020年10月からドイツ倒産法270条bにもとづく事業再生手 続き(注 1)を進めてきたが、このほど債権者ならびに裁判所の最終承認を得た。また再生計画の実行にあたり、欧州事業の司令塔となる Tadano Europe Holdings GmbHは1月から事業を開始している。今後は再生計画に沿って欧州事業の再生をスピーディーに進め、タダノグループの長期成長につなげたいとしている。
(注 1)ドイツ事業再生手続きとは、ドイツ倒産法270条bに定められた自己再生手続き(英語では Insolvency proceedings with self-administration)及び防護的保全手続き(英語では Protective shield proceeding)を併せて示したもの。
2.再生計画の骨子 裁判所の最終承認を受けた再生計画の骨子は下記のとおり。
1製品ラインナップの更新・合理化および共同開発
◆今後4年間で15モデルの新製品を上市予定
2両社の強みを活かした生産体制の垂直統合・調達コスト削減
◆垂直統合による QCD の改善
◆共同購買・モジュール化・共通化等によるコスト競争力の強化
3人員規模・組織・オペレーションの適正化
◆TDG/TFG の機能を一体運営
◆ERP 統合によるプロセスの標準化
◆人員の適正化
4両社の資産有効活用やバランスシートの圧縮
◆固定費の圧縮
◆棚卸資産の圧縮
◆年金債務の免除 など
なお、再生計画をスピーディーに進めるため、下記の組織変更も実施した。
◆Tadano Europe Holdings GmbH の設立(2021年1月1日事業開始) →欧州事業の迅速な意思決定とオペレーションの一体化
◆(フランス子会社)Tadano France SASとTadano Demag France SA →Tadano France SA として2社を統合
◆(イギリス子会社)Tadano UK Ltd と Tadano Demag UK Limited →Tadano UK Ltd として2社を統合