安川電機、産業用ロボットMOTOMANの累積出荷台数が50万台

 ㈱安川電機は3月30日、1977年に日本で初めてとなる全電気式の産業用ロボット「MOTOMAN- L10」を出荷して以来、2021年2月に累積出荷台数が50万台を達成したと発表した。

■安川電機の産業用ロボットの歩み

 安川電機は1915年の創業からモータを回し続けて100年、「モータとその応用」を基本に技術を磨き上げてきた。産業用ロボットMOTOMANを市場投入した1977年当初は、自動車工場の溶接工程の自動化・省力化に応えるべく、足回り部品やマフラーなど高い品質が求められる部品製造に強みを持って製品化を進めてきた。

 安川電機はロボットの基本となるマニピュレータ(アーム)やコントローラの設計技術だけではなく、業界トップクラスの自社製サーボモータ、高速・高精度なモーション制御技術や様々なアプリケーションに対応する応用技術などの強みを生かし、これまでに革新的で世界初の技術を搭載した製品を数多く製品化してきた。

 1994年にはロボットコントローラ YASNAC MRCが業界で初めて複数台のロボットどうしの完全独立協調動作を実現した。そして2003年にそれまでの溶接からハンドリングまで多様な目的に使用できる汎用ロボットから、顧客のニーズを徹底的に追求するなかで、ロボット業界において初めての取組みとなる使い方や機能をアプリケーション別に構造を最適化した「用途最適化ロボット」への展開も進めてきた。

 そのほかにも、一般的な動作に十分な6自由度のロボットに、もう1自由度を追加して、人の腕と同じ自由度を実現した7軸ロボットや、この7軸ロボットを応用し、人が両腕で行う作業を再現できる双腕ロボットなど、その時代の先端をいく技術で新しいロボット市場を切り開いてきた。

 近年は、生産年齢人口が減少し深刻化する労働力不足や感染症拡大防止を背景に、自動車産業に加え、三品市場(食品、医薬品、化粧品)や3C市場(コンピューター、家電製品、通信機器)向けの一般産業分野での需要も高まっており、多様化(多品種・変量)するものづくりのニーズに対応する為、人の隣で作業することができる人協働ロボット「MOTOMAN-HC10DT」の販売を2018年から開始し、産業用ロボットの活用の幅を広げてきた。

■安川電機が目指す産業用ロボット

 今後の顧客のものづくりの現場では、その多様化の実現に加え、生産効率や品質の向上、トレーサビリティーの確保などものづくりのスマート化へのニーズの拡大が見込まれる。

 そうしたなか、安川電機ではこれまでの自動化ソリューションに、データを活用する技術による「デジタルデータのマネージメント」を加えたソリューションコンセプト「i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を提唱し、顧客のものづくりにおける上記の経営課題の解決に取り組んできた。

 産業用ロボットMOTOMANはそのソリューションの更なる進化に向けた中核的な機器であり、搭載されているサーボモータや外部のセンサーからのプロセスデータを活用した技術を適用することで、ロボットの判断力や作業力をさらに高めていく。

 安川電機は既存のものづくりの現場での更なる自動化・最適化へ貢献してまいるとともに、今後は従来ロボットでは適用が難しかった領域にも新しい自動化ソリューションを提供することで産業自動化革命の実現に挑戦していく。

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