㈱山善は3月5日、同社とアセントロボティクス(本社:東京都渋谷区)は1月31日、アセントへの資本出資を伴う業務提携契約を締結したと発表した。山善は、3月にアセントが発行するCE(コンバーティブルエクイティ)型新株予約権を取得して資本出資し、アセントは調達した資金を活用して開発を加速していく。
■資本業務提携の概要および目的
山善は省人化・自動化ロボットをはじめ、工作機械や産業機器、機械工具など生産現場の設備機器を幅広く取り扱っており、特に生産現場への導入においてこれまでにも数多くの実績を有している。また日本を含め世界16カ国の主要都市に販売拠点を配置するなど、グローバルに販路を拡大している。
一方、アセントはAIを活用した知能ロボットや自律移動ロボット向けのインテリジェントソリューション群を開発しており、主に製造・物流業向けに当該インテリジェントソリューションを活用したソフトウェアの販売・提供を開始している。
提携により山善は、アセントのソフトウエアソリューションが搭載されたロボットシステムを、自身の有するグローバルな販路を活用して国内外に広く販売を開始する。今回の業務提携により、従来の取扱商品に加えて、新規顧客の開拓や差別化した省人化・自動化提案を積極的に推進していく。
アセントにおいては、調達した資金を活用して研究開発のさらなる加速を図り、タイムリーに急拡大する自動化ロボット市場に向けて魅力的なソリューション群を導入すると共に、山善の有するグローバルな販路を活用し、今後の業容の一段の拡大を目指す。
■提携の背景
日本のみならず、全世界規模で製造業等の生産現場や倉庫等の物流現場での人手不足が年々深刻化しており、eコマースの急拡大傾向とあわせて、新型コロナウイルス感染症対策として作業者の「3密」を避ける動きも加わることで、生産・物流現場における省人化・自動化のニーズは今や喫緊の課題になりつつある。
これらのニーズに柔軟に対応するためには、あらかじめ決められたスペースやルートのみで稼働し、定型化された反復作業のみを行う旧来型のロボットではなく、多種多様な対象物に対しフレキシブルにハンドリング・移送することができ、且つ現場の環境に応じて人間のオペレーターと協調して自律的に動作可能な知能ロボット群の導入が期待されている。
アセントのAI技術を活用したインテリジェントソリューションは、既存のロボットを「環境に応じて」「自律的に」稼動させることが可能。
■事業展開について
その第一弾としてアセントは、ロボットシステムの導入 前の ティーチング(教示)プロセス等に多大の時間とコストが必要だったことから自動化ソリューションの導入に二の足を踏んでいた中小の製造業に向けて、「Ascent Pick 1.0」(注:数値はバージョンを指す)をベースとしたソリューション の 販売を開始した 。
「Ascent Pick 1.0」とは、煩雑な ティーチング プロセスが不要で、部品とロボットハンドのCADデータを用いてAIを事前に学習させることで 、バラ積みされた部品を正確にハンドリングすることを目的とした、ライトウェイトな自動ピッキングソフトウェア。様々な種類のロボットアームとも組み合わせて搭載できる汎用性もその特長の一つ。さらに、「Ascent Pick 1.0」のラインナップとして、正確な部品の配置も可能にした「Ascent Pick Place 1.0」のPoC運用を開始した。
今後開発が予定されている次世代 「Ascent Pick 2.0」においては、最先端の3 Dビジョンセンサー 群 の 導入 により、 より高速・高精度・複合的な動作を可能にすることで、需要が急拡大している大規模製造・物流業界向けのAIロボットソリューションの提供を開始すると共に、統合的な ソフトウエアソリューション の構築により、さらに 幅広い業界・企業における省人化・自動化 ソリューションを推進していく。
■アセントロボティクス株式会社について
アセントロボティクス株式会社は、2016年に創業した、国際色豊かな研究者や技術者の集団であり、代表者である久夛良木健の指揮の下、業界をリードするパートナー企業や研究チームと手を取りながら、産業用及び自律移動ロボットのためのインテリジェントソリューションを開発している。
■株式会社山善について
工作機械、産業機器、機械工具、自動化ロボットなど、世界のモノづくりを支える「生産財」と、快適で便利な住まい・オフィス環境をつくる住宅設備機器や、暮らしを豊かに彩る生活用品などの「消費財」を提供する専門商社。生産現場の自動化提案、脱炭素社会へ向けた省エネ事業の推進、生活者のニーズを具現化した商品の開発など、変化する時代に対応したソリューションを様々な分野で提供している。