・電気自動車などの需要拡大に向けて生産能力を増強
大日本印刷(DNP)は、埼玉県入間郡の鶴瀬工場内に、リチウムイオン電池の外装材であるバッテリーパウチ(画像はサンプル)を生産する工場を新設し、2021年6月に稼動を開始すると発表した。
新設工場は、EV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッド車)、HV(ハイブリッド車)などの電動車の需要の急拡大に対応するもので、当初の計画より約1年早めて稼働を開始する。2022年にも同工場の設備を増強する計画。さらに電動車向けを中心とする、リチウムイオン電池の旺盛な需要に対応すべく、他拠点での増強など、生産能力の拡大を検討していく。
DNPは、生産能力の増強により、リチウムイオン電池用バッテリーパウチで、2024年度に年間1,000億円の売上げを見込んでいる。DNPは今後も、リチウムイオン電池用バッテリーパウチや各種環境対応製品を開発・製造し、脱炭素社会の実現に貢献していく。
<新工場の概要>
所在地:埼玉県入間郡三芳町竹間沢311
敷地面積:約5,000㎡
延床面積:約17,000㎡
稼動開始時期:2021年6月予定
■新工場開設の背景と狙い
近年、地球温暖化対策を強化する世界的な動向のなかで、国内や欧州、中国などの各国はグリーンリカバリー政策を打ち出し、EVなどの電動車の開発・導入を進めている。リチウムイオン電池用バッテリーパウチは、軽量と薄型を実現するためスマートフォンやタブレット端末等の情報機器で利用が広がってきたが、電動車の導入拡大に伴って、大型サイズの需要が急激に拡大してきている。
DNPは、長年培ってきた印刷技術のひとつであるコンバーティング技術(材料加工技術)を活かし、リチウムイオン電池の外装材であるバッテリーパウチを開発して1990年代後半に実用化に成功した。現在、国内外の電池メーカーに提供しており、高い品質と長年の実績が評価されて世界トップのシェアを獲得している。
DNPはこれまで、福岡県北九州市の戸畑工場で同製品を製造してきたが、市場の拡大に対応するとともに、事業継続マネジメント(Business Continuity Management:BCM)の強化の観点からも、今回、新たな生産拠点を埼玉県の鶴瀬工場内に開設することにした。また、2022年にも同工場内に設備を増設して生産能力の増強を進め、世界的な旺盛な需要に対応していく。鶴瀬工場は自動車用内装材などの部材も生産しており、今後、モビリティ関連事業の中核的な生産拠点として整備していく。
■DNPのリチウムイオン電池用バッテリーパウチについて
同製品は、プラスチックフィルムを多層化することで多様な機能を持たせており、従来のリチウムイオン電池で用いられていた金属缶に比べて、軽量かつ形状の自由度が高いといった強みを有している。1990年代後半から薄型化・軽量化が求められるスマートフォンやタブレット端末、ノートPCなどのモバイル情報機器で広く採用されている。
また、バッテリーなどの軽量化によって燃費性能を高めたいというモビリティ関連の需要にも応える製品。電池の外装材として必要な機能である水蒸気のバリア性や耐熱性・耐振動性・長寿命化を実現しており、高い安全性が求められる電動車でのさらなる利用拡大が期待されている。
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