ソディック、2020年売上は14.1%減の580億円、21年予想は12.7%増の654億円

 ㈱ソディックが2月12日に発表した2020年12月期(1~12月)連結業績によると、売上高580億30百万円(前年同期比14.1%減)、営業利益18億52百万円(前年同期比45.9%減)、経常利益20億46百万円(前年同期比42.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は13億46百万円(前年同期比32.7%減)となった。

 2020年の世界経済は、全世界的に新型コロナウイルス感染拡大の影響により経済活動が抑制される等、厳しい状況にあり、製造業においても設備投資が抑制された。新型コロナウイルス感染拡大の長期化により依然として先行き不透明の状況が継続する一方で、ソディックの最大市場である中国は他国に先駆けて経済回復し、中国以外の地域においても年後半にかけて持ち直す動きがみられた。

 このような事業環境の中、ソディックグループは、長期経営計画「Next Stage 2026 ~Toward Further Growth~」を掲げ、「創造」「実行」「苦労・克服」という創業精神を基盤に豊かな未来につながる技術を磨き、ものづくりを通して持続可能な社会の実現にチャレンジしている。

 新型コロナウイルス感染拡大防止においては、安全衛生面の徹底は元より、在宅勤務・時差出勤等を実施し、感染リスクを低減しつつ、業務を継続できる体制を維持してきた。また、社会貢献のため、フェイスシールド用フレーム「Face Tech」を開発し、医療関係・学校法人・スポーツ団体等へ供給した。

 研究開発においては、世界初の「ワイヤ回転機構」を搭載し加工性能・省資源・安定性・自動化の優位性を高めたワイヤ放電加工機「AL i Groove Edition」シリーズ、生分解性プラスチックの成形加工を容易に実現するV-LINE®不活性ガス溶解射出成形システム「INFILT-V」、高品質な即席麺やチルド麺などのミキシングに適した大型2軸ミキサ「TM-350W」、異なる穴径の高速・高精度・高品位な長時間連続加工を可能とした超高速細穴放電加工機「K4HL」等、市場のニーズに対応した新製品の技術開発を行っている。なお、細穴放電加工機「K4HL」は、日刊工業新聞社主催の「2020年(第63回)十大新製品賞本賞」を受賞した。

 営業・サービス活動においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響で展示会の中止が相次ぎ、対面でのサービスが困難となる状況の中、Web展示会やリモートツール等のITを活用した活動を行った。

 ソディック2020年データ

■セグメント別の状況

<工作機械事業>

 売上高 38,024百万円 (前年同期比 17.0%減 )、営業利益 2,896百万円 (前年同期比 1,724百万円減)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、全世界的に景気が大幅に減速し、自動車や電子部品、航空宇宙など幅広い産業での事業活動停止等による製品出荷の後ろ倒しや設備投資を先送りする傾向が強く見られた。3月以降中国における5G関連、半導体関連分野の需要回復は継続し、中国以外の地域においても年後半にかけて持ち直す動きもみられたが、売上高は前年同期比で減少した。

 セグメント利益においても販売台数の減少に伴う工場稼働率の低下等により前年同期比で減少した。

<産業機械事業>

 売上高 10,931百万円 (前年同期比 11.8%増)、営業利益 596百万円 (前年同期比 431百万円増)

全世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の抑制状況は継続しているが、営業努力により主に中華圏において5Gスマートフォン関連向けで新規顧客から受注が獲得できたほか、CASEなど次世代自動車関連向けなどの需要もあり、売上高は前年同期比で増加した。

<食品機械事業>

 売上高 3,585百万円 (前年同期比 42.9%減)、営業利益 65百万円 (前年同期比 559百万円減)

 各種製麺機、麺製造プラント、無菌包装米飯製造装置などの開発・製造・販売、その保守サービスを行っている。衛生面や省人化対応設備の他、外出自粛に伴う巣ごもり需要に関連した需要増が見られたものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて受注活動の停滞は避けられず、当初見込んでいた受注時期が先送りになる案件もあった。また、前年同期には、製麺関連の大口案件があったことから、売上高は前年同期比で大幅に減少した。

<その他>

 売上高 5,488百万円 (前年同期比 4.3%減)、営業利益 319百万円 (前年同期比 8百万円増)

 精密コネクタなどの受託生産を行う精密金型・精密成形事業、リニアモータやセラミックス部材の販売等を行う要素技術事業から構成されている。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、テレワーク等による情報通信設備の需要増を反映してセラミックスの需要も増加している。金型成形事業においては、自動車産業の需要に持ち直しの動きが見られた。

■今後の見通し

 今後の見通しについては、中長期的にはグローバルにものづくりが発展していく中で、設備投資需要は継続的に拡大していくものと見ている。その中でも、ソディックの主要な仕向け先である自動車産業においては、「CASE(Connected、Autonomous、Shared/Service、Electric)」や「MaaS (Mobility as a Service)」の対応に伴い自動車の軽量化・電装化ニーズや脱ガソリン車の動きが一層高まっている。加えて、AIやIoTの進展と次世代通信規格である「5G」の普及に向けたシステム高度化に伴う設備投資の動きも継続し、高精度機の設備投資需要はさらに高まっていくことが予想される。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響についてはワクチン接種開始による収束への期待から、年央以降の経済回復が期待されるものの、感染症の更なる拡大、ワクチン供給の遅れ、各国財政の圧迫等のリスクもあり、不透明感の残る状況となっている

■次期のセグメント別見通し

<工作機械事業>

 売上高 41,200百万円 (前期比 8.4%増)、営業利益 4,800百万円 (前期比 1,903百万円増)

 ソディックの最大の市場である中国を中心として5G関連、半導体関連分野の需要回復は継続する他、CASEなど次世代自動車関連の推進に伴うものづくりの高度化による高精度機の需要が好調となり、世界各地域における新型コロナウイルス感染拡大、都市封鎖等による経済の減速から脱却出来る期待ももてることから設備投資需要は回復基調となる見通し。

<産業機械事業>

 売上高 10,300百万円 (前期比 5.8%減)、営業利益 500百万円 (前期比 96百万円減)

 5G関連のアンテナ等の部品、レンズ向けの他、CASEなど次世代自動車関連向けなどの需要が引き続き堅調となる見込みである一方で、競合との競争環境も厳しさを増すことが予想され、的確に顧客ニーズに応えて受注獲得を目指す。

<食品機械事業>

 売上高 6,500百万円 (前期比 81.3%増)、営業利益 300百万円 (前期比 234百万円増)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて設備投資の時期が2020年から先送りされた案件もあるほか、国内外での高品質な麺の製造設備や包装米飯製造システムや自動化対応設備などの需要は引き続き拡大する見通し。

<その他>

 売上高 7,400百万円 (前期比 34.8%増)、営業利益 700百万円(前期比 380百万円増)

 セラミックスの外販は情報通信設備の需要増に伴うセラミックスの需要が引き続き堅調に推移し、金型成形事業は、自動車産業において成形アイテムの拡充も見込まれ需要が拡大する見通し。

 2021年12月期業績は、売上高654億円(前期比12.7%増)、営業利益41億円(前期比121.3%増)、経常利益41億円(前期比100.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益30億円(前期比122.7%増)と予想している。

 想定為替レートは、対米ドル期中平均レート104円、対ユーロ期中平均レートは122円。

 ソディックの2020年12月期決算短信

 決算説明資料