・ターボデン社、経済性向上と脱炭素化へGCSの電化を推進する同設備の導入増に道筋
・28MW級の設備を供給、ガスタービンからの排熱の有効活用により電動コンプレッサの運転に必要な電力を供給
・年間6,500万m³以上の天然ガス節約と年間12万tのCO2排出削減しながら圧縮能力の25%増強を実現
三菱重工グループのターボデン社(本社:イタリア・ロンバルディア州、Turboden S.p.A)は2月16日、エジプトのダハシュール(Dahshour)にあるパイプラインの天然ガス圧送を補強するガスタービン駆動のガス圧送ステーション(GCS)向けに、ガスタービンの排熱を有効活用する独自の有機ランキンサイクル(ORC:Organic Rankine Cycle)を用いた14MW級バイナリー発電設備(注)を2基受注したと発表した。
エジプトガス公社(GASCO:Egyptian Natural Gas Holding Co.)が導入する今回のシステムでは、既存ガスタービン4基と、今回シーメンスエナジー社が供給するガスタービン1基から出る排熱を利用し、バイナリー発電設備で28MWの発電を行うことでGCSの圧縮ガス能力と全体効率を向上させ、CO2排出削減に寄与する。年間19万2,000MWの電力を創出し電動コンプレッサに供給すると同時に、今まで発電のために使われていた年間6,500万m³以上の天然ガスを節約。年間12万tのCO2(米国ニューヨーク州マンハッタンの6倍に当たる森林面積におけるCO2吸収量に相当)を削減することもできる。
欧州復興開発銀行(EBRD:European Bank for Reconstruction and Development)は、“近代化とエネルギー効率化に焦点を当てた5年間の脱炭素化プログラム”を推進しており、グリーン、低炭素、回復力のある経済へつながるプロジェクトへの融資を増やしていく予定。同プロジェクトはエジプトの低炭素、経済に大きく貢献するプロジェクトであるとEBRDから評価を受け、脱炭素化プログラムの一環として資金が提供されることになっている。
三菱重工業は、広範囲かつ高効率な発電・エネルギーシステムの提供を追求するグローバル企業として、ターボデン社と緊密に連携し、エナジートランジション(低環境負荷エネルギーへの転換)の中でバイナリー発電装置の普及を通じた世界規模でのサステナブル(持続可能)なエネルギーミックスに貢献していく。
(注)ターボデン社のバイナリー発電装置は、フロン系や炭化水素系など低い沸点で気化する有機系材料を沸騰媒体として稼働させるORCタービンを主機として構成されており、バイオマスや工場排熱、地熱など比較的低い温度の熱を活用することができる。最大4万kW級の発電が可能で、燃料産出地域以外もしくは水資源に恵まれない内陸部・砂漠地帯・島々でも容易に導入でき、天候などに左右されにくい安定した発電ができる。