・排ガスゼロ化に向けたソリューション 「ニア・ゼロ・エミッション トランステーナ®」
・水素燃料電池搭載のトランステーナ®開発に着手
㈱三井E&Sマシナリー(本社:東京都中央区)は2月15日、将来の排出ガスゼロに対応可能なコンテナ用ヤードクレーン「NZE(Near Zero Emission;ニア・ゼロ・エミッション)トランステーナ®」の販売を開始したと発表した。NZEトランステーナ®は、搭載するディーゼルエンジンの小型化を図り、二酸化炭素やディーゼル排気有害物質の排出を従来のハイブリッド型より低減している。また、将来的な水素供給インフラの普及を見据え、ディーゼルエンジンを水素燃料電池(FC)電源装置へ換装しゼロ・エミッション(排出ガスゼロ)を実現するトランステーナ®の開発に着手した。
三井E&Sマシナリーは、NZEトランステーナ®及び、水素燃料電池電源装置搭載トランステーナ®の提供により、港湾の環境改善を図り、将来のカーボンフリー社会の実現に貢献する。
【背景】
現在、世界規模で気候変動を抑制し持続可能な社会を築くため、温室効果ガスや有害物質の排出をゼロにする様々な取り組みがなされている。我が国でも昨年10月、菅内閣総理大臣が2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、12月には国土交通省が、国際物流の結節点・産業拠点となる港湾において、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化等を通じて温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラルポート」の形成に取り組むことを発表した。また、米国ではロサンゼルス港・ロングビーチ港において、2030年に港湾地区のゼロ・エミッションを実現するCAAP(Clean Air Action Plan;クリーンエアアクションプラン)が進行中。
三井E&Sマシナリーでは、2009年より環境対応型のハイブリッド・トランステーナ®の販売を開始し、現在までに国内外の港に270機を納入している。
【三井E&Sマシナリーが提供するソリューション NZEトランステーナ®】
三井E&Sマシナリーでは、従来のハイブリッド・トランステーナ®から蓄電池の容量を大幅に増加するとともにディーゼル発電機セットを小型化した。これにより、燃費が従来のハイブリッド・トランステーナ®比で20~30%向上し、それに伴い二酸化炭素排出量も削減することが可能になる。さらに、小型エンジンの採用によりメンテナンスコストの削減、窒素化合物(NOx)、黒鉛粒子状物質(PM)の排出量の削減も期待できる。
【ゼロ・エミッションの実現へ向けて】
将来、水素供給インフラが普及した際には、NZEトランステーナ®のディーゼル発電機セットを水素燃料電池(FC)電源装置に換装するだけで、その他の電機駆動装置や機械装置に手を加えることなく、容易にゼロ・エミッション化を図ることができる。
三井E&Sマシナリーでは、トランステーナ®上に搭載するFC電源装置についても開発を進めており、2022年度中にFC電源装置を搭載したトランステーナ®の実機モデルを完成させ、工場内試験を完了させる予定。
三井E&Sマシナリーは、前身の三井造船時代に日本で最初のコンテナ用ヤードクレーンを設計・製作し、1968年に神戸・摩耶埠頭に納入した。 以来、世界中の港湾で三井E&Sマシナリーのトランステーナ®が採用され、2021年1月現在、国内外の港に累計1500機を納めている。トランステーナ®とは、三井E&Sマシナリーが技術提携するパセコ®グループのコンテナ用ヤードクレーンの登録商標。