日本電産は2月5日、三菱重工業から、工作機械、切削工具及びその関連製品に関する設計・製造・販売等を手掛ける三菱重工工作機械(本社:滋賀県栗東市)の株式の取得及び工作機械事業を専業とする海外子会社3社の三菱重工グループが保有する株式の全持分譲受、並びに海外子会社9社が営む工作機械事業の事業譲受等を決議し、2月5日付で三菱重工と株式取得等に係る譲渡契約を締結したと発表した。取引実行日は2021年5月頃を予定。
■株式取得の理由
今回の株式取得により、日本電産グループに工作機械事業を迎えることで日本電産グループの既存事業との相互補完が強化される。特に、日本電産グループは、日本電産シンポにおいて減速機及びプレス機の製造・販売・サービス事業を展開しており、この既存2事業と要素技術開発、製造、営業面等においてシナジーがあると見込んでいるもの。
株式譲渡完了後、三菱重工工作機械は日本電産シンポの第三の柱たる事業として重要な位置づけとなる。加えて、三菱重工工作機械の技術が日本電産グループ内における、将来的な内製化に向けた取り組みにも寄与するものと想定している。
現在、日本電産が最も注力しているモータ・インバータ・減速機を三位一体にした EV 用トラクションユニットである「E-Axle」は、今後更なる需要を見込んでいる。そのため、E-Axle の拡販をしていくにあたり、その中核部品の一つである、ギヤの強化が必要不可欠。今回の株式取得は三菱重工工作機械のギヤに精通した人材及び高度な技術力を獲得できるという、日本電産グループの EV 戦略にも合致した重要な取り組みとなる。
三菱重工工作機械は、1936 年に広島において旋盤生産から事業を開始し、三菱重工のグループ会社として長年工作機械のトップメーカーとして「ものづくり」の未来を創る企業として継続、成長している企業。同社は工作機械、切削工具及びその関連製品に関する設計・製造・販売及びアフターサービス等を提供しており、これまでに培ってきた技術に加え、専門性の高い人材を有している。主な製品分野は、国内トップシェアを誇り、自動車用トランスミッションや減速機等の歯車装置において、切削加工から研削加工に至るまでの高精度・高効率の歯車加工を実現する歯車機械を始め、最先端かつ独自技術を提供する、レーザー・半導体製造装置等の製品を展開している。
日本電産は、株式取得を完了後、三菱重工工作機械を軸として工作機械事業の更なる拡大を視野に入れており、必要な投資を行うことで同事業をグローバルの主役にすることが可能だと考えている。日本電産グループと三菱重工工作機械のそれぞれが持つ技術力、ブランド力、顧客基盤を相互に利用してグローバルベースでの工作機械市場の発展に貢献したいと考えている。
<買収企業概要>
会社名:三菱重工工作機械株式会社
本社所在地:滋賀県栗東市六地蔵130
設立:2015年(平成27年)10月1日
資本金:30億円
役員体制:代表取締役社長 若林 謙一(同氏は本件取引後も継続して同役職に留任)
生産拠点:日本(滋賀県栗東市)、米国、中国、インド
事業内容:
(1)工作機械、切削工具及びその関連製品に関する設計・製造・販売並びにコンサルティング業務
(2)上記製品に関わる製品の据付、技術指導、アフターサービス等
・従業員数:約1,400名(2020年4月時点)
売上高:
2020年3月期403億円
2021年3月期231億円(見込み)