住友重機械、20年4~12月期売上は7%減の5,618億円、通期予想は上方修正

 住友重機械工業が1月29日に発表した2021年3月期第3四半期(2020年4~12月)連結業績によると、受注高については、船舶及び環境・プラントの部門を除く全ての部門で減少し、前年同期比7%減の5,618億円となった。また、売上高については、機械コンポーネント、精密機械及び建設機械の部門で減少し、前年同期比4%減の5,999億円となった。

 損益面では、機械コンポーネント、建設機械及び船舶の部門で減少し、営業利益は前年同期比4%減の363億円、経常利益は前年同期比6%減の336億円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比10%減の206億円となった。

 2020年4~12月期における経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、国内においては、緊急事態宣言の発出やその後の経済活動の停滞が見られ、海外においては、パンデミックによるロックダウンやそれに伴う経済状況の低落が見られるなど、機械需要は全世界的に下降局面を迎えることとなった。また、これに加え、米中貿易摩擦の深刻化、地政学上のリスクの継続及び原油価格の変動と低迷など、不透明感も増すことになった。

 このような経営環境のもと、同社グループは、従業員の安全確保や社会的要請への最大限の協力など新型コロナウイルス感染に対する対処を進め、罹患者発生時における生産維持などの短期的なBCP(事業継続計画)の実現や受注減少局面での事業維持、工場操業の確保などに取り組んできた。

■各部門別の状況

<機械コンポーネント部門>

 全世界的に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、受注、売上、営業利益ともに減少した。この結果、受注高は916億円(前年同期比4%減)、売上高は893億円(同8%減)、営業利益は15億円(同71%減)となった。

<精密機械部門>

 プラスチック加工機械事業は、中国の電気電子関連の需要の回復や欧米での需要の増加により受注は増加した。一方、受注から売上までリードタイムがあることから売上、営業利益ともに減少した。その他精密機械事業は、半導体関連の需要が調整局面で受注は減少したものの、受注残があったことから売上、営業利益ともに増加した。この結果、 受注高は1,134億円(前年同期比19%減)、売上高は1,286億円(同5%減)、営業利益は143億円(同31%増)となった。

<建設機械部門>

 油圧ショベル事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け主に海外の需要が減少したことから、受注、売上、営業利益ともに減少した。建設用クレーン事業も、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け需要が減少したことや、原油価格低迷により北米地区の需要が減少したことにより、受注、売上、営業利益ともに減少した。この結果、受注高は1,645億円(前年同期比14%減)、売上高は1,723億円(同14%減)、営業利益は60億円(同52%減)となった。

<産業機械部門>

 運搬機械事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け発注先送りの傾向が見られたことから受注は減少したが、受注残があったことから売上、営業利益ともに増加した。その他産業機械事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け受注、売上、営業利益ともに減少した。この結果、受注高は541億円(前年同期比16%減)、売上高は683億円(同10%増)、営業利益は64億円(同68%増)となった。

<船舶部門>

 船舶市況は引き続き低迷しているが、当第3四半期は前年同期比1隻増の3隻の新造船を受注した。引渡しは前年同期比1隻増の2隻で売上は増加したが、前年同期に引き続き営業損失となった。この結果、受注高は261億円(前年同期比15%増)、売上高は231億円(同8%増)、営業損失は31億円となった。

<環境・プラント部門>

 エネルギープラント事業は、国内や欧州でバイオマス発電設備の大型案件を受注したことなどから受注は増加し、主に国内で受注残があったことから売上、営業利益ともに増加した。水処理プラント事業は、排水処理装置の案件が前年同期に比べ減少したことなどから受注は減少したが、受注残があったことから売上、営業利益は増加した。この結果、受注高は1,077億円(前年同期比27%増)、売上高は1,138億円(同10%増)、営業利益は100億円(同59%増)となった。

<その他部門>

 受注高は43億円(前年同期比22%減)、売上高は45億円(前年同期比16%減)、営業利益は13億円(同22%減)となった。

■2021年3月期連結業績予想を上方修正

 2021年3月期の連結業績予想については、2020年10月30日公表した予想を下記の通り修正した。

 売上高、8,500億円(前期比1.7%減、前回予想8,100億円)、営業利益460億円(同19.0%減、360億円)、経常利益415億円(同21.2%減、315億円)、親会社株主に帰属する当期純利益220億円(同32.9%減、160億円)。

 (修正の理由) 業績予想の策定にあたり、受注後リードタイムの短い機械コンポーネント、精密機械及び建設機械部門を中心に、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けているが、下期から徐々に回復することを前提としていた。この前提に大きな変化はないが、建設機械部門で日本及び中国の需要が想定以上に堅調なことやエネルギープラント事業で工事進行基準案件の工事進捗が想定より進んでいること、精密機械部門や産業機械部門で採算が好転したことなどにより上方修正した。

 なお第4四半期連結会計期間の主な為替レートは、1ドル=100円、1ユーロ=120円と想定している。

 住友重機械工業の2021年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算補足資料