コマツ、20年4~12月期売上は17.2%減の1兆5,133億円

 コマツが1月29日に発表した2021年3月期第3四半期累計期間(2020年4~12月)連結業績によると、売上高は1兆5,133億円(前年同期比17.2%減少)となった。建設機械・車両部門では、一般建機を中心に需要の着実な回復が見られたものの、引き続き石炭向け鉱山機械が低調に推移したことや、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、売上高は前年同期を下回った。産業機械他部門では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、鍛圧機械、板金機械及び工作機械の需要が低調に推移し、売上高は前年同期を下回った。

 利益については、固定費の削減に取り組んだものの、建設機械・車両部門の販売量減少及び構成差、円高の影響などにより、営業利益は1,075億円(前年同期比48.3%減少)となった。売上高営業利益率は前年同期を4.3ポイント下回る7.1%、税引前四半期純利益は1,033億円(前年同期比45.6%減少)、当社株主に帰属する四半期純利益は659億円(前年同期比51.2%減少)となった。

 コマツは、2021年の創立100周年とその先の成長を目指し、2019年4月より2022年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value – FORWARD Together for Sustainable Growth」をスタートし、①イノベーションによる価値創造、②事業改革による成長戦略、③成長のための構造改革 を成長戦略3本柱として掲げている。新型コロナウイルスの世界的大流行により経済活動が停滞しているものの、将来に向けて収益向上とESG(環境・社会・ガバナンス)の課題解決の好循環による持続的成長を目指して活動を継続していく。

 同中期経営計画より新たに経営目標として掲げているESGについて、世界の代表的な社会的責任投資指標「ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ ワールドインデックス(DJSIWorld)」に引き続き選定された。また、国際的な非営利団体CDPにより、「気候変動対策」及び「水セキュリティ対策」においてAリスト企業と認定された。今後も、安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場を、顧客とともに実現していく。

 コマツ2021年3月期第3四半期データ

■地域別概況

<日本>

 日本では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が小さかった公共工事などを中心に新車販売が回復したものの、第2四半期までの民間工事の停滞や営業・サービス活動制限などにより、売上高は前年同期を下回った。

<米州>

 北米では、住宅建設向けの需要は回復基調にあるものの、経済活動の停滞によるレンタル向け及び原油安の影響によるエネルギー関連向けの一般建機や、鉱山機械の需要が低調に推移したことにより、売上高は前年同期を下回った。

 中南米では、ブラジルにおいて一般建機需要が堅調に推移したものの、第2四半期までの新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、売上高は前年同期を下回った。

<欧州・CIS>

 欧州では、主要市場であるドイツ、英国、フランスやイタリアにおいて需要は新型コロナウイルス感染拡大の影響から回復基調にあるものの、第2四半期までの需要が低調だったことから、売上高は前年同期を下回った。

 CISでは、インフラ及びエネルギー関連向けの一般建機の需要が回復基調にあることに加え、金鉱山向け需要が堅調だったものの、石炭向け鉱山機械需要が低調に推移したことなどにより、売上高は前年同期を下回った。

<中国>

 中国では、新型コロナウイルス感染収束後のインフラ投資などの景気下支え策により需要が引き続き堅調であり、国産メーカーの販売比率は上昇しているものの、需要増加を着実に取り込んだ結果、売上高は前年同期を上回った。

<アジア・オセアニア>

 アジアでは、インドネシア、タイ、マレーシアにおいて一般建機を中心に需要の着実な回復が見られたものの、引き続き石炭向け鉱山機械が低調に推移したことや、第2四半期までの新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、売上高は前年同期を大幅に下回った。

 オセアニアでは、鉄鉱石向け鉱山機械需要及び一般建機需要が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回った。

<中近東・アフリカ>

 中近東では、原油価格の低迷及び新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、引き続きサウジアラビアなどで需要が低調に推移しており、回復基調にはあるものの、売上高は前年同期を下回った。

 アフリカでは、南部アフリカ地域において、鉱山機械の販売が増加したものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより一般建機需要が引き続き低調に推移し、売上高は前年同期を下回った。

[リテールファイナンス]

 リテールファイナンス部門では、北米を中心に資産が減少したことに伴い、売上高は495億円(前年同期比6.4%減少)となった。セグメント利益は、支払猶予の影響及びリースアップ車の評価を見直したことなどにより、81億円(前年同期比25.0%減少)となった。

[産業機械他]

 産業機械他部門では、半導体市場向けエキシマレーザー関連事業の売上げが堅調だったものの、鍛圧機械、板金機械及び工作機械については新型コロナウイルス感染拡大の影響により需要が低調に推移したことに加え、海外顧客の現場における据付け作業の遅延により、売上高は1,020億円(前年同期比19.7%減少)、セグメント利益は89億円(前年同期比6.7%減少)となった。

 11月には「未来のGEMBAを提案」をテーマに、産業機械、工作機械のデモンストレーションなどを見ることができる、東日本(小山地区)展示場を栃木工場内に開設した。コマツグループの総合力として、これまで培ってきた技術・ノウハウと先進技術を生かし、変化する社会、多様化するニーズに対応し、顧客の生産性向上に更に貢献していく。

■連結業績予想に関する定性的情報

 昨年10月28日に公表した2021年3月期の連結業績予想に変更はない。

 売上高2兆1,190億円(前回予想:2兆680億円)、営業利益1,340億円(同:1,150億円)、税引前当期純利益1,270億円(同:1,080億円)、株主に帰属する当期純利益800億円(同:670億円)。

 ニュースリリース

 コマツの2021年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料