オークマ、20年4~12月期売上は34%減の878億円

 オークマが1月29日に発表した2021年3月期第3四半期(2020年4~12月)連結業績によると、受注額は88,493百万円(前年同期比18.8%減)、売上高は87,788百万円(同33.5%減)、営業利益は2,240百万円(同比82.3%減)、経常利益は2,702百万円(同79.5%減)、親会社に帰属する四半期純利益は617百万円(同比93.1%減)となった。

 2020年4~12月期は、新型コロナウイルスの影響により急激に悪化した世界経済が4-6月期を底にして持ち直しに向かう展開となった。

 工作機械の需要動向については、2020年4月から5月の最悪期を経て、感染拡大の落ち着きに伴い、緩やかな回復に向かった。

 米国市場では、需要は回復傾向で進んだ。自動車関連をはじめ、建設機械、農業機械等、幅広い分野で設備計画が再開され、投資に慎重とされる航空機関連においても、生産効率化を目的に生産設備の刷新等を図る企業が見られた。更に設備投資の動きは中・小規模事業者にも広がり始めた。

 欧州市場では、製造業の景況感に改善が見られ、ウイルス感染拡大の影響を強く受けた南欧諸国においても設備投資の動きが戻り始めた。

 中国市場は、一早く持ち直しに向かい、コロナ禍以前から続く建設機械関連からの需要は堅調に推移し、更に風力発電等のインフラ関連、自動車関連等、幅広く設備投資の動きが加わり、工作機械の需要はコロナ禍前の水準を超えるまで回復した。

 国内市場では、半導体製造装置や建設機械関連からの需要は底堅く推移し、また自動車関連をはじめ幅広い業種において慎重ながらも需要は持ち直しに向かった。

 このような経済環境の下、オークマグループは、グローバルでの顧客獲得、業務効率向上、費用圧縮による収益確保と体質強化を図ると共に、コロナ禍を機に一層高まる自動化・無人化のニーズ、そして脱炭素化社会の実現に向けて、環境対応の社会要請に応える技術開発を進めてきた。このため独自のAI・知能化技術を搭載したスマートマシンを幅広く提供すると共に、工程集約、機械稼働の遠隔監視、DX(デジタルトランスフォーメーション)対応等、生産性向上に貢献するスマートマニュファクチャリング技術・自動化システムの提案を推し進めることにより需要を喚起してきた。

 オークマ2021年3月期第3四半期データ

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 今後の世界経済は、足下では新型コロナウイルス感染が再拡大するも、各国政府による追加経済対策等により緩やかな回復を維持することが期待される。そしてコロナワクチンの普及によって感染を押さえ込んでいく中で、回復の足取りが強まることが予想される。

 工作機械の需要動向については、この新常態におけるものづくりで顕在化した新たな自動化・省人化の需要が本格化することが見込まれる。そして非接触での安心、安全のための自動化・無人化のニーズは、従来の労働力不足への対応に加えて、新たな需要の拡大を見込む。更には脱炭素社会に向けた自動車の電動化、再生エネルギーの社会インフラ構築に、新たな成長領域を見込む。

 このような経営環境の下、オークマグループは、これまで培ったスマートマシン、スマートマニュファクチャリングの技術を土台に、非接触、自動化・無人化、工程集約、デジタル革新・DXへの取り組みで「総合ものづくりサービス」企業として成長していく。

 営業面では、世界的な設備投資の回復が見込まれる中、コロナ禍を機に定着したリモートでの商談、Web展示会等を展開し、リアルとバーチャルの両面から顧客体験価値を拡張すると共に、国内及び海外の販売・サービス拠点・販売網の拡充、強化を図ることにより地域に密着した顧客対応や販売促進策を展開し、販売拡大に注力していく。またデジタル投資による需要や脱炭素社会に向けた新たな需要を取り込み、販売拡大を加速していく。

 技術面では、独自のAI・知能化技術の開発、デジタル活用を更に加速させ、これらを搭載したスマートマシンの開発を進めていく。次世代ロボットシステム「ROID」シリーズ等、自動化・無人化システムの更なる充実を図り、自動化・無人化ソリューションを提案して需要を喚起していく。また脱炭素化社会の実現に向けた環境対応等、社会的な要請に応える技術・ソリューション開発を進め、オークマの成長につなげていく。

 製造面では、製品の強みを活かした生産工程の刷新を展開し、自社開発の「ARMROID」による多品種少量生産の自動化等、次世代製造技術による生産効率の向上、コストダウンの拡大を図ると共に、革新技術の実証を推し進めオークマブランドに対する信頼を一層高めていく。また本社工場、可児工場の再開発の準備を進め、自己完結一貫生産体制の一層の強化を図っていく。

 調達面においては、グローバル調達網の再整備、協力会社への技術支援等、BCPの観点からサプライチェーンの強化の取り組みを推進していく。

 オークマグループは、長年に亘り培ってきた「機電情知(機械・電気・情報・知識創造)」融合の強みを展開し、自動化・無人化の対応力、デジタル革新技術・DXの提案力、トータルソリューションの提供力の強化を図っていく。そして今期の営業、技術、製造の戦略を進めながら、ウィズコロナ、アフターコロナでの経済社会の変化を捉えて成長するための土台を築いていく。

 オークマの2021年3月期第3四半期決算短信