鉱研工業が1月25日に発表した2021年3月期第3四半期(2020年4~12月)連結業績によると、受注高は6,630百万円(前年同期比10.7%増)、売上高は5,517百万円(同8.6%増)となった。利益面は、売上高の増加と原価率の低減により粗利益が増加したため、伊勢原工場用地取得関連の不動産取得税等の諸経費88百万円で増加した販売費及び一般管理費(前年同期比140百万円増)も吸収、営業利益は233百万円(同比5.5%増)、経常利益は234百万円(同4.7%増)となった。最終利益については、6月に厚木工場売却による特別利益963百万円の計上とこれに関わる圧縮記帳処理などの税務処理を行った結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は847百万円(前年同期は+183百万円)と前年同期を大きく上回った。
4~12月の受注は、ボーリング機器関連、工事施工関連ともに前年同期を上回った。また、売上については、ボーリング機器関連では海外出荷があり前年同期を上回り、工事施工関連において大型工事の完工などにより増加したため全体では前年同期を上回った。
■経営成績に関する説明
2020年4~12月期における国内経済は、国内外における新型コロナウイルス感染症拡大の影響による企業収益の低下や雇用環境の悪化が続いており、極めて厳しい状況にある。景気の先行きについては、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動レベルの段階的引き上げや各種政策の効果等により持ち直しの動きがみられたものの、同感染症の感染再拡大に懸念が顕在化し、より一層不透明感が増す状態となっている。
鉱研工業グループを取り巻く環境については、国内市場は今後も都市の再開発、全国規模の防災・減災対策、インフラ老朽化対策、リニア中央新幹線建設など社会資本整備が不可欠で、建設投資は今後も底堅く推移していくことが見込まれている。期初においては新型コロナウイルス感染症の影響により、ボーリング機器関連では主要仕入機材の海外からの輸入遅延が見込まれていたが、現段階においてはそのリスクは軽微であると見込んでいる。しかし、工事施工関連においては、新型コロナウイルス感染症の影響により、工事着工の遅れが発生し通期の完工高が減少されることが予想されている。
このような状況のもと、鉱研工業グループでは「2018中期経営計画」(2018年度~2020年度)の最終年度である当期も同中期経営計画に基づき、『①粗利率のアップ、②固定費低減、③売上拡大』を目指して引き続き推進していく。また、鉱研工業の社是である「ONE&ONLYの技術構築のために前進」に基づき、鉱研工業にしかない「ONE&ONLY」の得意技術をボーリングスペシャリストとして自負とともに国内・海外の市場に展開し、これまで以上に他社が追従出来ない機械と施工技術の開発を進めていく。
■セグメント業績
<ボーリング機器関連>
国内での受注は全国規模の防災・減災及び国土強靭化の地方復旧工事で取引先からの受注は増加傾向にあり、また、海外においては中国での大型ボーリングマシン関連と中南米へのODA水井戸機関連の受注があったため、受注高は前年同期比40百万円増加した。売上については国内で主力製品のロータリーパーカッションドリル(RPD機シリーズ)とその関連部商品の出荷は減少したものの、海外受注増に伴い売上も大きく増加したため、国内販売の売上減少を補い、前年同期を3.0%上回った。
利益面では引き続き特機の原価高を起こさない体制により逐次、個別原価の管理を行っているため改善しているが、伊勢原新工場用地関連で販売費及び一般管理費が増加したことにより同セグメントの固定費負担額が嵩んだため、△32百万円のセグメント損失(前年同期は△86百万円)となった。(但し、伊勢原新工場用地関連の販管費等増加分を差し引くと+35百万円)
<工事施工関連>
国内のBM工事(大口径立坑掘削工事)と温泉工事の受注は減少したが、トンネル先進調査ボーリング工事、地下水活用工事及びアンカー工事の受注は前年同期を上回り、また海外でも大型のBM工事を受注したことにより、受注高は前年同期と比べると599百万円増加した。売上高については、BM工事、温泉工事の完工は減少しましたが、長尺コントロールボーリング工事、北海道・北陸における新幹線・高速道路延伸工事でのトンネル先進調査ボーリングとアンカー工事の完工が増加したため、売上全体では前年同期を上回った。
利益については、完工高の増加と原価率削減効果により、販売費及び一般管理費の固定費増加をカバーし、268百万円(前年同期+307百万円)のセグメント利益を計上した。(但し、伊勢原新工場用地関連の販管費等増加分を差し引くと+312百万円)
■2021年3月期連結業績予想
2021年3月期の業績予想については、2020年10月23日に公表した業績予想に変更はなく、以下のとおり。売上高7,900百万円(前期比3.9%)、営業利益360百万円(同△13.3%)、経常利益260百万円(同△37.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益930百万円(同174.8%)。
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