日揮ホールディングスは1月18日、海外EPC事業会社である日揮グローバルが、韓国の大手化学会社が計画する同国初の廃プラスチックガス化リサイクルプラントの実現に向けた事業化調査業務を受注したと発表した。
同プロジェクトは、韓国における十数カ所の廃プラスチック選別施設から、リサイクルが困難な混合フィルムや選別残渣のプラスチックを収集し、日揮グローバルが再実施許諾権を持つEUP※を活用した廃プラスチックガス化リサイクルを実現するプラント(日量数百トン規模)の建設に係る事業化調査を実施するもの。2021年前半に調査結果をまとめる予定。
現在韓国では、ペットボトルやポリエチレン、ポリプロピレンなどの純度が高い単一素材のプラスチックごみは洗浄処理などによる物理的リサイクルが実施されている一方で、異種素材や不純物を含む混合フィルムや残渣プラスチックは、リサイクルが困難であることから現状埋立てまたは焼却されており、これら資源を再利用する仕組みの構築が同国内での喫緊の課題となっている。
日揮および日揮グローバルが韓国大手化学会社に提案したEUPは、これまで再利用が難しいとされてきた混合フィルムや残渣プラスチックを分子レベルに分解することが可能であり、資源リサイクルの促進に大きく寄与する。ガス化設備から製造される合成ガスは、ケミカル製品の代替原料や、精製処理を行うことで低炭素水素としても活用することができるため、循環型社会のみならず、水素社会の実現にも貢献する。
日揮グループでは、企業グループとして取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として「環境調和型社会」を掲げ、「環境負荷低減に寄与するプラント・設備の建設」、「低炭素・環境対応高機能材の製造」、「環境関連技術のビジネス化」の三つの観点で幅広い取り組みを行っている。
今後、世界的に資源循環に向けた動きがさらに加速していくことが予測されており、日揮グループは、上記の廃プラスチックのガス化設備、ならびにガス化設備から製造される合成ガスを用いた化学品製造設備の提案、ならびに廃プラスチックを原料とする水素製造装置の提案を通じて、廃プラスチックのガス化リサイクルの推進に取り組んでいく。
※ EUPの概要:EUP(Ebara Ube Process)は、荏原環境プラントと宇部興産が開発した、廃プラスチックを酸素と蒸気により部分酸化することでガス化し、化学品合成に利用可能な合成ガスを製造するプロセスで、2003年から昭和電工川崎事業所においてEUPを採用したガス化設備(廃プラスチックの年間処理量約7万トン)が稼働しており、ガス化ケミカルリサイクル用途では世界で唯一長期商業運転を継続している。
日揮グループは、これら3社と締結したEUPライセンスの再実施許諾権契約に基づき、荏原環境プラントと宇部興産からEUPに関する技術供与、昭和電工から量産化技術の供与と運転支援を受け、廃プラスチックのリサイクル事業を推進していく。