不二越、20年11月期売上は19%減の2,010億円、今期見通しは2%増の2,050億円

 ㈱不二越が1月14日に発表した2020年11月期連結業績によると、売上高は、2,010億55百万円(前期比19.3%減)、うち国内売上高は1,044億90百万円(同22.6%減)、海外売上高は965億64百万円(同15.3%減)となった。利益面についても、売上高減少に伴う操業度の低下などにより、営業利益は68億50百万円(同48.7%減)、経常利益は55億8百万円(同55.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は24億58百万円(同70.2%減)となった。(数値表記は原文まま)

 不二越2020年11月期第4四半期および通期データ

■経営成績の概況

 2020年11月期の経営環境は、いち早く経済活動を再開した中国や、自動車・建設機械分野などの一部で持ち直しの動きもあるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、日本を含めた世界経済は極めて厳しい状況が続いた。

 このような状況のもと、不二越グループは、ロボット事業を核に、工具、工作機械、ベアリング、油圧機器、そして特殊鋼事業をあわせ持つ総合機械メーカーとしての特長を活かし、ユーザーニーズにマッチした新商品の市場投入や、コロナ禍に適応した営業活動の展開などによる受注・売上の確保にとり組んできた。また、足下の収益改善に向けて、需要の急激な変動に対応する生産体制の構築、合理化などを進め、あわせて中長期的な産業構造の変化を見据え、事業全般の構造改革に着手してきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内外で自動車や産業機械分野の需要が大きく落ち込んだ。

■セグメント業績

 機械工具事業では、工具・ロボットを中心とした新商品の投入や工作機械の大型案件があったものの、世界経済減速に伴う需要減や設備投資の抑制などにより、売上高は675億93百万円(前期比23.0%減)、営業利益は25億9百万円(同58.9%減)となった。

 部品事業では、自動車・建設機械分野の一部で持ち直しの動きがあったが、主要ユーザーの生産減の影響などにより、売上高は1,206億81百万円(前期比15.6%減)、営業利益は36億88百万円(同32.4%減)となった。

 その他の事業では、特殊鋼需要の減退と原材料価格の下落に伴う販売価格の引き下げなどにより、売上高は127億80百万円(前期比30.1%減)、営業利益は5億74百万円(同67.0%減)となった。

■今後の見通し

 次期の事業環境については、新型コロナウイルス感染拡大の影響や、米中通商問題の継続など、先行きが不透明であり、現時点においては、自動車・産業機械・建設機械・市販分野ともに需要動向が見通しづらい状況にある。また、脱炭素社会の実現に向けて、不二越の主要な事業領域である自動車分野においてはEV化のとり組みが加速、さらに、ものづくりのFA化・IoT化の進展など、グループをとり巻く経営環境も、大きく変化している。

 不二越は、このような事業環境のなか、「ロボットを核に 世界最高水準の技術で ものづくりの革新をリードする」を事業運営スローガンとして、営業・サービス、製造・調達、研究開発の各面で体質を強化していく。

 そして、ロボットをはじめ多彩な事業・技術・生産ノウハウを有する独自性を活かし、新しいビジネスチャンスを創出するとともに、新商品の開発、工場の無人化・デジタル化、そして、顧客志向を徹底し、今後の需要構造にマッチした組織・体制の構築を柱とする構造改革にとり組み、業績の一層の向上に努めていく。

 現時点における2021年11月期の連結業績予想は、売上高2,050億円(前期比2.0%増)、営業利益80億円(同16.8%増)、経常利益68億円(同23.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益40億円(同62.7%増)を見込んでいる。

 なお、為替レートは1USドル102円、1ユーロ125円、1中国元15.5円を前提としている。

 不二越の2020年11月期決算短信

 11月期決算概要資料

 11月期決算補足資料