旭化成は1月13日、マテリアル領域における添加剤事業の強化拡大を図るため、岡山県倉敷市の水島製造所内に結晶セルロース※1「セオラス®」の第2工場を建設すると発表した。
旭化成のスペシャルティソリューション事業本部添加剤事業部では、医薬品等で主に錠剤の賦形剤※2として用いられる結晶セルロース「セオラス®」を宮崎県延岡市において1970年より製造し、国内外に販売している。主用途である医薬品錠剤向け需要は今後も国内外で堅調に推移すると予想しており、将来的な供給能力の拡充が必要と考えている。
中でも、旭化成独自の高機能グレードである『KGグレード』、『UFグレード』は国内外で高く評価されており、その需要も大きく伸長していることから、特に供給力の強化が求められている。
成形性に特化した『KGグレード』、成形性と流動性を両立させた『UFグレード』を使用することで、飲みやすい錠剤の設計、錠剤の小型化、複数薬物の合剤化、錠剤生産性の向上等の効果を発現する。さらに、顧客の原料調達リスクを軽減する目的で、生産拠点複数化による安定供給力向上の要望も高まっている。
以上2点の供給力強化ニーズを充足することを目的として、大幅な生産能力増強となる今回の設備投資を旭化成の水島製造所内で実施することにした。
■水島製造所における工場建設について
水島製造所は、生産・研究活動の中核拠点として、主に「アクリロニトリル」「スチレンモノマー」「超高分子量ポリエチレン」など多くの石油化学製品の製造を行っている。
旭化成は2014年に国内石油化学事業の基盤強化を図るため、一部製品の生産設備を停止するなど、石油化学事業の構造改善を行った※3。空地となっていたエリアの有効活用、新たな事業創出は旭化成グループ全体の一つの経営課題だったが、今回の拡大投資案件は、製造プラントとしては、水島製造所における構造改善後初めての工場建設プロジェクトとなる。
■今後の展開
旭化成は、今後も「セオラス®」を国内外のより多くの顧客に届け、これまで錠剤にするのが難しかった医薬品の製造に貢献することに加えて、さらに機能を高めた製品を開発、市場投入し、製薬会社や患者の期待に応え、世界の人びとの“いのち”と“くらし”に貢献する。
※1結晶セルロース天然パルプを原料とする白色の粉末。主に医薬品添加剤、食品添加物として使用される。
※2:賦形剤固形製剤の増量、形状賦与の目的で添加されるもの。
※3:ご参考2014年2月25日リリース「国内石油化学事業の基盤強化について」新規ウィンドウを開きます
<設備投資の概要>
立地:岡山県倉敷市潮通3-13 旭化成株式会社 製造統括本部 水島製造所 B地区
着工予定:2021年9月
竣工予定:2023年春
投資額:約130億円
生産品目:医薬品等添加剤 結晶セルロース「セオラス®」
販売予定先:国内外の製薬会社、健康食品製造会社、など