㈱安川電機が1月12日に発表した2021年2月期第3四半期連結累計期間(2020年3~11月)業績によると、売上高は2,799億37百万円(前年同期比9.6%減)、営業利益は200億41百万円(同4.8%増)、税引前利益は190億83百万円(同0.5%減)、四半期純利益143億37百万円(同4.0%増)となった。(数値表記は原文まま)
■経営成績に関する説明
第3四半期(2020年3~11月)における安川電機グループの経営環境は、前半において世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、設備投資がグローバルで抑制された。一方、中国においては生産活動の正常化がいち早く進み、ニューインフラ関連の投資が積極的に行われたほか、自動車市場も好転するなど需要は堅調に推移した。なお、後半にかけては欧州など中国以外の一部の地域においても持ち直す動きがみられた。
このような環境において安川電機グループの業績は、ACサーボモータ・コントローラ事業における中国での販売が好調に推移した一方、前半でロボット事業の顧客を中心にグローバルで設備投資が抑制されたことに加え、インバータ事業におけるオイル・ガス関連の需要低迷の影響を受け、全体の売上収益は前年同期比で減少した。しかし、利益面においては売上減少による影響を受けたものの、期を通じた経費削減の徹底により収益性は改善し、営業利益は前年同期比で増加した。
■地域別の経営環境
日本:自動車関連をはじめ製造業全般の設備投資は低調に推移した一方、半導体・電子部品関連の需要はIT投資の増加により底堅く推移した。
米国:半導体市場では設備投資が継続したが、自動車市場やオイル・ガス市場の需要が低迷するなど、総じて低調に推移した。
欧州:自動車をはじめ市場全般で需要は低調に推移したものの、後半にかけては回復の兆しがみられた。
中国:製造業全般で生産活動の正常化が進み、次世代通信規格5G関連などへの投資が積極的に行われた。また、自動車市場においてはメーカ各社が自動化投資を計画するなど需要は回復した。
中国除くアジア:アセアンを中心に自動車関連の需要は伸び悩んだものの、韓国における半導体・液晶関連などで設備投資が底堅く推移した。
■セグメント別の状況
<モーションコントロール>
売上収益:1,280億41百万円(前年同期比△6.7%、営業利益:182億47百万円 (前年同期比+11.2% )。モーションコントロールセグメントは、ACサーボモータ・コントローラ事業とインバータ事業で構成。
ACサーボモータ・コントローラ事業における中国・アジアの売上が増加した一方、インバータ事業では米国を中心に販売が低迷した。この結果、セグメント全体では前年同期比で減収となったが、中国の売上伸長に伴う収益性の改善や各地域における経費抑制の効果により営業利益は増加した。
〔ACサーボモータ・コントローラ事業〕
中国において5Gや新エネルギーなどニューインフラ関連の需要増加により売上が伸長したことに加え、グローバルで半導体・電子部品関連の需要が底堅く推移するなど、堅調に推移した。
〔インバータ事業〕
米国のオイル・ガス市場が大きく落ち込むなどグローバルで需要が低迷し、売上は減少した。
<ロボット>
売上収益 996億39百万円 (前年同期比△14.5% )、営業利益 42億19百万円 (前年同期比 △12.6% )。
主要市場である自動車は、中国以外の地域で新型コロナウイルスの影響により、前半において設備投資が抑制され売上は伸び悩んだ。その一方で一般産業分野においては、中国を中心に自動化ニーズの拡大を背景とした設備投資の動きがみられたほか、半導体ロボットの販売は堅調に推移した。利益面では、経費削減に努めたものの売上の減少などにより、営業利益は前年同期比で減少した。
<システムエンジニアリング>
売上収益 351億26百万円 (前年同期比 △9.4% )、営業利益 6百万円 (前年同期比 2億59百万円改善 )。システムエンジニアリングセグメントは、環境・社会システム事業と、産業用オートメーションドライブ事業で構成。
セグメント全体の売上収益は国内を中心に減少したものの、営業利益は構造改革や新製品の市場投入効果などで改善した。
〔環境・社会システム事業〕
新製品の市場投入を行った太陽光発電用パワーコンディショナの販売は底堅く推移したが、上下水道用電気システム関連の売上が新型コロナウイルスの影響などにより減少した。
〔産業用オートメーションドライブ事業〕
鉄鋼プラント関連は、国内での設備投資延期の影響を受け、売上が伸び悩みました。
<その他>
売上収益 171億29百万円 (前年同期比 △1.0% )、営業利益 △2億58百万円 (前年同期比 2億94百万円悪化 )。その他セグメントは、物流サービス事業などで構成。
前年同期に対し、売上収益は国内を中心に減少し、営業利益は悪化した。
■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明
安川電機を取り巻く環境は、第3四半期に入り中国でのニューインフラ関連の需要増加やグローバルにおける半導体・電子部品市場が好調に推移したことにより、ACサーボ・コントローラ事業では想定より強い回復がみられている。また、ロボット事業においても中国を中心とした自動車市場の回復や自動化ニーズの拡大を背景に回復基調にある。このように安川電機の主力市場における需要動向は第2四半期を底に、下半期を通じて着実な回復がみられている。しかし、依然として新型コロナウイルス感染拡大の長期化による景気後退への懸念は払拭できないことから、徹底した経費削減を継続することで、収益性のさらなる改善に努めていく。これらを踏まえ、2021年2月期(2020年3月1日~2021年2月28日)の連結業績予想を以下のとおり上方修正した。
売上高3,809億37百万円(前期比7.3%減)、営業利益271億91百万円(同12.4%増)、税引前利益263億73百万円(同7.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益180億53百万円(同15.9%増)。
なお、2020年12月1日から2021年2月28日までの期間における平均為替レートは、102.0円/米ドル、126.0円/ユーロ、15.90円/元、0.095円/ウォンを想定しています。
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