2021年 社長年頭挨拶(要旨)
皆様、新年あけましておめでとうございます。
昨年は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、皆様の生活様式、働き方や仕事のあり方が激変した1年でした。
企業活動も様々な制約を受け、年後半に緩やかに持ち直したものの、景気の回復には至りませんでした。当社グループにとっても、おととしに引き続き非常に厳しい年となり、皆様やご家族にはいろいろご心配をおかけしました。その中で日夜、職場、海外をはじめとする遠くの現地で業務に励んでいる皆様には心より感謝いたします。
今年は昨年発表した20中計の中間年度に当たる年であり、20中計達成に向けて加速が必要な重要な年となります。年頭に当たって、3点お話したいと思います。
■1点目は、「現状の経営課題とその克服」についてです。
現状の経営状況に鑑み皆様に強くお願いしたいことがあります。それは、現状に対する「危機意識の再認識」です。
皆様もご存じの通り、昨年は資産売却、要員対策に加えて事業構造変革に向けたアライアンス戦略を着実に推進し、一定の成果を出し、なんとかこの緊急事態を乗り切ることができました。皆様の努力、協力に感謝いたします。
しかしながら、2年連続の大幅赤字により大きく棄損した財務面も未だ綱渡りの状態です。コロナ禍の影響で今まで利益を出していた事業部門も経営状況の悪化が懸念されております。当社グループは引き続き存亡の危機に瀕していると認識ください。
この危機を脱し将来の発展に繋げるには、スピードをもって事業再生計画を完遂し、「財務・収益体質の強化」と「事業構造の変革」を果たし、継続して利益を上げられる会社にすることが必須です。
もはや、どの事業も、待っていれば市況が回復して仕事が戻ってくる状況ではありません。待っている時間は我々にはないのです。自分たちで実力をつけて自ら仕事をとりにいかねばなりません。また固定費削減等あらゆる手立てを講じ、この難局を乗り越えねばなりません。今世界中の優良企業といわれるところでも必死に思い切った諸策を打っています。もっと状況の厳しい我々は、まだまだ甘いと感じております。
皆様、この危機感を強く意識し行動してください。
■2点目は、20中計についてです。
この危機克服の為、事業再生計画をより具体的に深化させた20中計を昨年8月に公表しました。コロナ禍により世界のすべてのものが激しいスピードで変化しています。我々も変わっていく必要があります。20中計はその変化に向けたロードマップです。20中計は今後の当社グループの方向性に関わることなので、少し詳しくお話しします。
従来我々が主力としてきた、都度受注し製造販売あるいはEPCを行うフロー型ビジネスモデルは、市況により大きな利益を上げられる反面、受注の山谷が大きく、市況が悪いときは仕事量不足に苦しみ、利益を無視した過当競争になるなどのマイナス面があります。
一方、お客様に持続的にサービスを提供しながら長期的に収益を上げていくストック型ビジネスモデルは、1件当たりの金額は小さくても安定した収益が期待できます。
更にこれからの大きな流れとして「パワーメカトロニクスの時代」が到来すると見ています。既に自動車産業などでは変わりつつあり、今後は、動力機械に電子制御部品、デジタルモジュールを搭載した製品やLSS事業などのサービスが中心となってきます。
当社は既にパワーメカトロニクスを対象としたストック型ビジネスモデルの基盤となる仕組みを有しています。皆様には是非、単なるアフターサービスの範疇を超えた新しい価値を見出し、進化したサービスを工夫して、より大きなビジネスへと育んでいただきたいと思います。この大きな時代の変化は、我々にとって転換のチャンスであり、我々は20中計でフロー型ビジネスだけでなく、ストック型ビジネスモデルへの転換を目指します。アライアンスによる市場創出も20中計で目指すものの一つです。艦艇事業では防衛産業の基盤をより強固なものにするため、協業という形で業界全体の発展へ寄与します。商船事業は設計開発力の強みを活かしたファブレス事業に注力し、市況の大きな波に飲み込まれない姿を目指します。
ちなみに協業というのは自分達に強いところがないと成立しません。協業ができるということは自分たちの力の証でもあるとの自信を持ち、またその強さを磨き、前向きに自分達と事業の発展のため頑張っていただきたいのです。艦艇事業の事業譲渡や商船事業の他社との資本提携については、双方とも協議は進んでいることをお伝えします。
なお、持株会社体制移行により管理体制が重層化し二重管理となっている部分があります。経営環境の変化が激しいなか、シンプルな経営基盤への転換を図ることも重要であり、固定費削減も必須です。そのためにも従来の仕事を全て見直し、本当にやらなければならないか、他に方法がないかということを常に意識して行動してください。
20中計で掲げられている戦略を自分たちのアクションに落とし込み、スピードをもって着実に実行してください。
■3点目は「安全衛生」、「コンプライアンス」、「情報セキュリティ」についてです。
今、これらをおろそかにする会社は社会的に存続が許されません。
一方、経営状況が苦しいとき、何か変わろうとするときは管理が行き届かずこれらの問題が発生する可能性が増すものであり、我々は今以上にその重要性を再認識し注意せねばなりません。
まずは「安全衛生」についてです。昨年5月三井E&Sマシナリー社大分工場において、死亡災害が発生し尊い命が犠牲となりました。ご本人やご遺族のことを思うと、痛恨の極みです。管理監督者のみならず現場の第一線で作業されている従業員も含め全員が二度とこういうことを起こさないという決意を新たに、安全管理と安全作業に取り組んでください。
また、本社地区では新型コロナウイルス感染拡大対策として在宅勤務が定着しており、人との関わりが希薄になりやすいためメンタル面のケアも重要性が増しています。コロナ禍でコミュニケーションのとり方も変化を余儀なくされていますが、工夫し、上司と部下、同僚とのコミュニケーションをより一層良くしていくようお願いします。
次に「コンプライアンス」についてです。言うまでもなく「コンプライアンス」は企業行動の必須条件であり、社会から信頼され企業を存続させるためになくてはならないものです。今まで通りではなく、いつも、これでいいのかと考え、行動するようにしてください。
もう1点、「情報セキュリティ」についてです。我々は日々サイバー攻撃の脅威に晒されています。また、在宅勤務等社外で重要情報を扱う機会も増えているかと思います。残念ながら、「情報セキュリティ」はシステムで完全に確保されるものではありません。皆様一人ひとりが適切に対応することが必要ですので、気を緩めず普段から注意してください。
■最後に、
元マラソン選手の高橋尚子さんの座右の銘を紹介します。それは、「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根を伸ばせ。やがて大きな花が咲く。」というものです。「地上のものをすべて枯らすような厳しい時期もある。悲観的にならずに今は花が咲く時期ではないと、気持ちを切り替えることが大切。今はしっかり根を伸ばす・増やす時期とし、地道に基礎体力をつけることに専念する。やがてその努力が報われて、見事大きな花を咲かすことができる。」というものです。
この言葉は、今の当社グループに通ずるものがあると考えております。
コロナ禍により厳しい環境は続きます。一方ではIT業界のようにこのピンチをチャンスとして伸びている業界もあります。
我々はむやみに悲観的にも楽観的にもならず、この危機をチャンスととらえ、事業再生計画を完遂させ、20中計の戦略を迷わず進めていかねばなりません。我々は厳しい環境をこれまで乗り切ってきました。ここを頑張って乗り越えた先には、20中計で描いた当社グループの未来が開かれ、大きな花が咲くと信じております。
安全と健康に留意し、今年も共に頑張っていきましょう。
コメントを投稿するにはログインしてください。