日鉄エンジニアリング(本社:東京都品川区)は11月26日、台湾の中国鋼鉄(本社:高雄市、以下、CSC)より、高雄製鉄所向けに世界最大のコークス乾式消火設備(以下、CDQ※1)1基(以下、同設備)を受注したと発表した。
同プロジェクトは、既設コークス炉の老朽化に伴い新設するコークス炉用に、環境対策に合致する技術としてCDQを新設するもの。湿式消火(散水)に比べ、コークス冷却時の発塵抑制による環境改善に加え、回収した蒸気を発電に有効活用することにより、省エネとCO2の削減にも寄与する。
同設備のコークス冷却処理能力は世界最大(260t/h)であり、世界でも日鉄エンジニアリンググループだけが納入実績(4基)を有する。一般的に、CDQの大型化に伴いクーリングチャンバー内部のコークスを均一に冷却することが技術的な課題となるが、日鉄エンジニアリングはコークスと冷却ガスが均一に流動するためのシミュレーション解析、フルスケール実験機での検討など長年にわたる研究開発により、大型サイズ(260t/h)でも冷却効率を低下させず、安定した操業が実現できる独自の技術を保有している。
今回は、日鉄エンジニアリングが世界最大のCDQの安定稼働実績を有していること、CSCグループに日鉄エンジニアリングが過去納入したCDQ※2が、いずれも高い稼働率を維持していること、大型であっても高効率な発電を実現できること、またそれらに裏打ちされた日鉄エンジニアリング技術の先進性・信頼性が高く評価され、競合他社を抑えて受注に至った。
今回の受注により、日鉄エンジニアリンググループのCDQ受注実績は、日本・中国・韓国・インドなど全世界で累計140基となった。
日鉄エンジニアリングは、今後も鉄鋼業界における環境・省エネ分野のトップサプライヤーとして、世界の製鉄業の発展および環境保護に大きく貢献していく。
※1 CDQは「Coke Dry Quenching」の略。密閉空間の冷却塔でプレチャンバーとクーリングチャンバーで構成される。コークス炉で乾留された赤熱コークスを、冷却塔内で不活性ガスを用いて冷却するとともに、従来は放散していた赤熱コークスの顕熱をボイラーで蒸気として回収する設備。またCDQは、コークスを冷却する際のダスト発生の抑制、蒸気による発電を通じCO2排出の抑制、高炉での使用に適したコークス品質の改善、の3つの効果が期待されるため、近年注目されている設備。
※2 CSCグループへの過去の日鉄エンジニアリング納入実績は4基。(他社製CDQの冷却効率改善改造1基を含む)