・エンジニアリング協業、水素ガスタービンや水素コンプレッサの供給で地元産業の脱炭素化に貢献、将来日本などへの輸出も目指す
三菱重工業は11月26日、豪州で再生可能エネルギー由来電力によるグリーン水素・アンモニア事業開発を行う事業会社Hydrogen Utility(H2U)社のホールディング会社である「H2U Investments」へ出資し、同社の事業検討に参画することで合意したと発表した
南オーストラリア州は風力、太陽光の資源に恵まれており、さまざまな再生可能エネルギーを発電エネルギーミックスへ統合するべく、注力している。この豊富な再生可能エネルギーを活用し、同州のエネルギーソリューションの一環としてグリーン水素・アンモニアの生産に取り組み、鉱業、農業分野などの地域の脱炭素化に貢献する。さらに、将来グリーン水素・アンモニアを日本などへ輸出する足掛かりをつくり、産業の脱炭素化への貢献を目指す。
同社は、最初のプロジェクトとして、同州南西部のエアー半島において、洋上風力や太陽光といった再生可能エネルギー由来電力を活用した水電解による水素製造プラントと、そこで生成した水素を活用したアンモニア製造プラントの建設、および水素ガスタービンの実証をするプロジェクトを計画しており、2022年末のグリーン水素・アンモニア生産開始を見込んでいる。三菱重工は、設計仕様検討の段階から検討に参画し、水素ガスタービンや水素コンプレッサなどの主要機器供給も視野に入れ、このプロジェクトを推進する。また、事業検討の中で、CO2低減のためにインフラを共用するなど近隣の産業とのシナジー効果もあわせて検討する。
2015年のパリ協定を経て、温室効果ガスの排出量ネットゼロを目指す脱炭素化に向けた取り組みが世界各地で進むなか、製造および燃焼の過程でともにCO2を排出しないグリーン水素と、グリーン水素から生成されるグリーンアンモニアは、次世代のクリーンエネルギーとして注目されている。
豪州の連邦政府、南オーストラリア州政府および他の州政府も、同地域における再生可能エネルギー事業に大きな期待を寄せている。三菱重工は、2018年10月にニューサウスウェールズ州政府との間で、西シドニー地域の総合開発計画におけるエネルギーマネジメントなどのソリューション提案についてMOU(了解覚書)に調印しており、今回の出資および南オーストラリア州でのグリーン水素・アンモニア事業の検討参画により、新エネルギーを活用した豪州の産業発展に一層貢献することとなる。
三菱重工グループは、水素製造、水素発電など水素サプライチェーン全体に関する多くの知見と優れた技術力を活用し、新たなビジネスモデルを創出することで直面する社会課題を解決し、脱炭素社会の実現に貢献していく。