・水素を柔軟に利用し高効率に電力と熱を供給
・ドイツのガス・熱研究所(GWI、エッセン市)に、高効率ハイブリッド(熱電併給)システムを納入へ
・日本国内における9基の導入実績が評価され、今回の国外初採用につながる
三菱パワーは10月29日、ドイツのエッセン市(Essen、ノルトライン=ヴェストファーレン州)に拠点を置くガス・熱研究所(GWI:Gas- und Wärme-Institut Essen, e.V.)向けに、欧州初となるSOFC(Solid Oxide Fuel Cell: 固体酸化物形燃料電池)「MEGAMIE」を受注したと発表した。設備は2022年3月までに稼働を開始する予定。天然ガスからバイオガス、水素まで、さまざまな燃料に柔軟に対応できるハイブリッド型SOFCの運用性や、水素を燃料ガスとして混合利用することなどについて、実環境下での研究が行われる。
受注した案件は、製造業のデジタル化によるエコシステムの構築を目指すドイツの国家プロジェクトであるインダストリー4.0(第4次産業革命の意)を踏まえた、ノルトライン=ヴェストファーレン州(NRW)版研究プロジェクト「KWK.NRW 4.0」の一環で、同州および欧州地域開発基金(ERDF:European Regional Development Fund)による資金提供を受け、三菱パワーのSOFCが採用されたもの。この高効率システムは、電気や熱を供給するだけでなく、既存の電力網から独立した分散型電源として利用することもでき、大規模なオフィスビルや病院、約300戸の住宅に電気と熱を供給する能力を持つ。また天然ガス、バイオガスに加え、電気の脱炭素化に寄与する水素を利用することもできる。さらに小型であるという特徴から、既存の電力・熱供給システムへ最適に組み込むことができる。
三菱パワーのSOFCシステムは日本国内ですでに9基の導入実績があることも採用に向けたプラス要因となり、今回、海外初の受注へとつながった。GWIでは、部分負荷運転や水素混合燃料ガスによる柔軟で持続可能な運転が確認される予定。GWIでディレクターを務めるKlaus Görner(クラウス・ゲルナー)氏は「再生可能エネルギーの割合が高いエネルギーシステムでは、日照や風況により発電量が左右されるため、環境に配慮した方法で、確実かつ迅速に電気と熱を供給できる発電所が不可欠です」と述べている。
ドイツのデュイスブルク市(Duisburg、ノルトライン=ヴェストファーレン州)に拠点を構える三菱パワー欧州法人、三菱パワーヨーロッパ(Mitsubishi Power Europe GmbH)で新事業ビジネス部門のトップを務めるEmmanouil Kakaras(エマノイル・カカラス)氏は、次のように説明している。「当社のSOFCシステムを欧州市場に納入できることを嬉しく思います。三菱パワーが得意とするクリーンエネルギーの需要が拡大していることが確認でき、SOFC以外にも、エネルギー・トランジションに貢献可能な最新の技術・ソリューションを幅広く取り揃えています」。これらの技術・ソリューションには、水素焚きガスタービン、大規模バッテリー蓄電ソリューション、Power-to-X技術、バイオマス変換、ヒートポンプシステムも含まれまる。
三菱パワーは、革新的な発電技術とソリューションにより、持続可能な脱炭素社会の実現に貢献するとともに、多様なグローバル社会の課題解決に取り組んでいる。
画像・上:SOFC(固体酸化物形燃料電池)「MEGAMIE」
画像・下:分散・クリーン電源として都市部への安定エネルギー供給にも貢献分散・クリーン電源として都市部への安定エネルギー供給にも貢献
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