コマツ、20年4~9月売上は21%減の9,577億円、通期見通しは上方修正

 コマツが10月28日に発表した2021年3月期の第2四半期(2020年4~9月)連結業績によると、売上高は9,577億円(前年同期比21.1%減少)となった。建設機械・車両部門では、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、北米、欧州・CIS、アジアを中心に需要が減少したことから、売上高は前年同期を下回った。産業機械他部門では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、鍛圧機械、板金機械及び工作機械の需要が低調に推移し、売上高は前年同期を下回った。

 利益については、固定費の削減に取り組んだものの、建設機械・車両部門の販売量減少及び地域構成差などにより、営業利益は603億円(前年同期比57.5%減少)となった。売上高営業利益率は前年同期を5.4ポイント下回る6.3%、税引前四半期純利益は585億円(前年同期比54.3%減少)、当社株主に帰属する四半期純利益は372億円(前年同期比58.6%減少)となった。

 コマツは、2021年の創立100周年とその先の成長を目指し、2019年4月より2022年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「DANTOTSU Value – FORWARD Together for Sustainable Growth」をスタートし、①イノベーションによる価値創造、②事業改革による成長戦略、③成長のための構造改革 を成長戦略3本柱として掲げている。新型コロナウイルスの世界的大流行により経済活動が停滞しているものの、将来に向けて収益向上とESG(環境・社会・ガバナンス)の課題解決の好循環による持続的成長を目指して活動を継続しており、2021年3月期は中期経営計画の2年目となる。

 コマツ2021年3月期第2四半期データ

■部門別の概況

[建設機械・車両]

 建設機械・車両部門の売上高は8,765億円(前年同期比21.2%減少)、セグメント利益は522億円(前年同期比59.8%減少)となった。

 中期経営計画の成長戦略3本柱の1つであるイノベーションによる価値創造においては、鉱山向け無人ダンプトラック運行システム(AHS)の強化を重点項目の1つとして進めてきた結果、9月末時点の総稼働台数は累計260台以上となった。鉱山の顧客の安全性向上及びオペレーションの最適化に加え、新型コロナウイルスによる生産性低下などのリスク低減に貢献するソリューションとして、引き続き鉱山現場の自動化を進めていく。

 また、同じく重点項目の1つである、建設現場向けソリューション「デジタルトランスフォーメーション・スマートコンストラクション」については、国内及び海外の顧客の施工の最適化に貢献するソリューションとして訴求し、国内においては既存の従来型建機にICT機能を提供するレトロフィットキットや、土木工事で使用されるダンプトラックの稼働をモニタリングするアプリケーションの導入を順次進めている。引き続き建設現場のデジタルトランスフォーメーション実現を加速させていく。

 事業改革による成長戦略においては、鉱山事業の更なる強化として、コマツマイニング商品のブランド統合を進め、また、戦略市場でのアフターマーケット強化の取り組みとして、延長保証プログラムの保証期間を更に延ばした新たなプログラムの提供を進めており、中国、タイ、インドネシアに加え、9月よりインドにおいても提供を開始した。

■地域別概況

<日本>

 日本では、公共工事などの稼働においては新型コロナウイルス感染拡大の影響は小さかったものの、民間工事の停滞や営業・サービス活動制限の影響があり、売上高は前年同期を下回った。

<米州>

 北米では、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞を受け、レンタル向け及び原油安の影響によるエネルギー関連向けの一般建機の需要が落ち込んだことに加え、鉱山機械の需要が低調に推移したことにより、売上高は前年同期を大幅に下回った。

 中南米では、ブラジルにおいて一般建機需要が堅調に推移したものの、その他各国の需要は低調に推移したことにより、売上高は前年同期を下回った。

<欧州・CIS>

 欧州では、主要市場であるドイツ、英国、フランスなどでの需要が低調に推移しており、売上高は前年同期を下回った。

 CISでは、金鉱山向け需要は堅調だったものの、石炭向け鉱山機械需要が低調に推移したことなどにより、売上高は前年同期を大幅に下回った。

<中国>

 中国では、新型コロナウイルス感染終息後のインフラ投資などの景気下支え策により需要が引き続き好調であり、国産メーカーの販売比率は上昇しているものの、需要増加を着実に取り込んだ結果、売上高は前年同期を上回った。

<アジア・オセアニア>

 アジアでは、最大市場であるインドネシアにおける燃料炭価格の下落に伴う鉱山機械の需要低迷に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、インドネシア、インド、フィリピンなどの一般建機需要が低調に推移したことなどから、売上高は前年同期を大幅に下回った。

 オセアニアでは、鉄鉱石向け鉱山機械需要及び一般建機需要が堅調に推移し、売上高は前年同期並みとなった。

<中近東・アフリカ>

 中近東では、トルコで需要が回復基調であるものの、原油価格の低迷及び新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより引き続き各国で需要が低調に推移しており、売上高は前年同期を下回った。

 アフリカでは、南部アフリカ地域において、新型コロナウイルス感染拡大に対する政府による経済活動の規制が続いた影響に加え、鉱山機械需要が減少したことなどから、売上高は前年同期を下回った。

[リテールファイナンス]

 リテールファイナンス部門では、北米を中心に資産が減少したことに伴い、売上高は327億円(前年同期比5.8%減少)となった。セグメント利益は、支払猶予の影響及びリースアップ車の評価を見直したことなどにより、46億円(前年同期比31.2%減少)となった。

[産業機械他]

 産業機械他部門では、鍛圧機械、板金機械及び工作機械については新型コロナウイルス感染拡大の影響により需要が低調に推移したことに加え、海外の顧客の現場における据付け作業の遅延により、売上高は649億円(前年同期比11.9%減少)となった。セグメント利益については、半導体市場向けエキシマレーザー関連事業の売上げが堅調であったことから、41億円(前年同期比1.6%増加)となった。

 コマツ産機(株)では、本年8月より、プラズマ切断技術をリードするコマツ独自のテクノロジーを集約した中厚板のオールラウンド切断機である、高性能プラズマ切断機ツイスター「TFPL10-6」「TFPL08-6」の販売を開始した。

■2021年3月期の見通し

 上期は、建設機械・車両部門において、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、建設・鉱山機械の需要は、北米、欧州・CIS、アジアを中心に減少したが、下期においては、中国が引き続き堅調に推移するとともに、北米、日本などにおいても回復基調に入ることが想定される。

 また、中期経営計画の重点活動である成長分野への投資は継続的に実施していくものの、プロジェクトの優先順位の見直しや業務改善などによる固定費削減の効果が見込まれ、当初想定を上回る業績が想定されるため、売上高及び利益は下記のとおり修正した。

 売上高2兆1,190億円(前回予想:2兆680億円)、営業利益1,340億円(同:1,150億円)、税引前当期純利益1,270億円(同:1,080億円)、株主に帰属する当期純利益800億円(同:670億円)。

 また、為替については、業績予想の前提となる為替レートのうち、ユーロの見直し(下期平均の為替レートを1ユーロ124円に変更)を行い、通期平均の為替レートは、1米ドル=106.1円、1ユーロ=122.7円、1人民元=15.1円となる。(前回通期平均の為替レート見通し1米ドル=105.6円、1ユーロ=116.7円、1人民元=15.0円)

 ニュースリリース

 コマツの2021年3月期第2四半期決算短信

 第2四半期決算説明資料