技研製作所、中国大手建機販売企業と販売代理店契約

・中国南地域の企業に次いで2社目。北地域の市場拡大へ布石

 ㈱技研製作所(本社:高知市)は10月21日、中国河北省の建機販売企業・石家庄天遠(セッカソウテンエン)科技集団有限公司(以下、天遠社)と販売代理店契約および指定工場契約を結んだと発表した。中国での両契約は同国南地域に位置する上海トラスト社(本社:上海市)に次いで2社目。河北省は北地域に位置しており、首都・北京市と直轄市・天津市に隣接している。契約は、巨大市場・中国における重要なビジネスパートナーとして天遠社を位置付け、同社を足掛かりに北地域での圧入技術の普及拡大を目指すもの。

 中国では近年、設計院(設計を所管する行政組織)やゼネコンが圧入技術に注目するようになり、計画段階から採用する案件が増えている。特に技研製作所の現地事務所(上海市)と上海トラスト社のある南地域においては圧入工事の実績が多く、工法普及が進んでいる。しかし、拠点のない北地域での普及活動は南地域に比べると手薄となっており、技研製作所は戦略的パートナーを求めていた。

 天遠社では、機械の販売や維持管理だけでなく、工法提案、現場施工を展開していくことも見据えている。技研製作所は同社との連携を深め、中国における圧入ビジネスの拡大を加速させていく。

■天遠社について

 1992 年創業。世界の大手建機メーカーと販売代理店契約を結ぶ中国の大手建機販売企業で、レンタル、部品供給、メンテナンスを含めてワンストップで提供している。従業員数は756 人(2020年)。韓暁明(ハンショウミン)代表取締役は中国工程機械工業協会代理商工作委員会副会長と同協会工業インターネット分会会長を兼任しており、建機業界で豊富な経験および影響力を有している。契約後、天遠社は圧入事業の専門部署をグループ内に設け、技研グループの支援を受けながら圧入整備士やオペレータ、工法営業員を育てる。将来的には施工の専門部門を設ける構想である。

■経緯

 中国北地域での圧入市場拡大に向け、技研製作所は次の3条件を満たす代理店候補を探してきた。➀圧入の優位性や技研製作所の考え方をよく理解し、信頼できるパートナーであること②ネットワークと資金力があり、短期利益を追求しない企業であること③技研製作所と協働で工法普及、市場拡大を図ることができる企業であること。その中で、日本をはじめとする大手建設機械メーカーと長年の取引があり、技術力、営業力に優れた天遠社を知り、昨年からアプローチを開始。天遠社としても圧入技術への理解を深める中で、その潜在需要に商機を見出した。両社は約1年間対話を重ねて価値観を共有、今回の契約に至った。

■今後の期待

 中国では近年、豪雨による大規模洪水、河川堤防決壊などの水害が相次いでおり、数多くの人命と財産が失われている。喫緊の課題として対策が急がれる中、中国江蘇省の「京杭(ケイコウ)大運河」と上海市の「蘇州川」の堤防補強工事において技研製作所の「インプラント堤防Ⓡ」が採用されるなど、圧入工事の施工実績が広がっている。

 また、1950~1970 年代に整備された中国の大部分のダムは老朽化が進んでおり、堤体の補強工事が不可欠となっている。こうした工事において、環境性、安全性、急速性、経済性、文化性の「建設の五大原則」をバランスよく満たすインプラント工法Ⓡの採用が拡大していくのは間違いない。天遠社と力を合わせながら中国市場での工法普及を加速させていく。

 画像・上:オンラインで行われた事業パートナー関係構築に向けた会談の様子

 画像・下:上海市「蘇州川」での堤防補強工事

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