ソディック、電動射出成形機「MSシリーズ」に搭載する不活性ガス溶解射出成形システム「INFILT-V」を発売

・生分解性プラスチックの生産性向上 困難だった薄肉深物の成形加工を容易に実現

 ㈱ソディックは10月22日、生分解性プラスチックの生産性向上を目的に、”eV-LINE”(イー・ブイライン)電動射出成形機「MSシリーズ」に搭載できる、不活性ガス溶解射出成形システム「INFILT-V(インフィルト)」(画像)を開発、2020年11月より発売開始すると発表した。INFILT-Vは、樹脂材料の粘度を低下させる可塑剤の役割を果たし、従来、薄肉成形が困難であった生分解性プラスチックでも薄肉で深物の成形加工を容易に実現することが可能となる。

 近年、廃プラスチック有効利用率の低さや海洋プラスチック等による環境汚染が世界的課題になっている。これらを解決する材料として、生分解性プラスチックは、自然界の微生物により分解され地球に還ることから、その利用拡大が期待されている。しかし、生分解性プラスチックは、溶融したときの粘度が高く成形加工するのが困難なことが課題だった。そこで、精密成形品の安定性に優位なV-LINE(R)にさらなる生産性向上を開発コンセプトとした、ソディック独自の不活性ガス溶解射出成形システム「INFILT-V」の開発に至った。

 また、プラスチックに関するサーキュラーエコノミー(循環型経済)の議論が国内外で活発化している。日本においては、政府の推し進めるプラスチック資源循環戦略の一つとして、カーボンニュートラルである生分解性プラスチック、及びバイオマスプラスチックを最大限使用し、地球温暖化防止や石油系プラスチック廃棄物を起因とするマイクロプラスチックによる海洋汚染などを防止することが施策に盛り込まれている。ソディックにおいても持続可能な社会の構築のため、積極的に地球環境にやさしいバイオマスプラスチック、とりわけ、生分解性プラスチックの成形加工技術の開発を推し進めていく。

※1:V-LINE(R)(V-ライン(R))は株式会社ソディックの登録商標。

■INFILT-Vの主な特長

・-LINE(R)および不活性ガス溶解射出成形システム INFILT-Vによる流動性向上効果

 ソディック独自開発・製造の可塑化・射出装置「V-LINE(R)」を有する電動射出成形機「MSシリーズ」にこの「INFILT-V」を搭載し、樹脂材料を金型に充填する射出プランジャから不活性ガスを直接注入する新しいシステムを開発した。(※2)

 計量された樹脂材料に射出プランジャから不活性ガスを直接注入することで、ガス量を精密に注入することが可能となり、不活性ガスを溶解させている樹脂材料を安定して計量・射出することが可能となった。

(※2)特許登録済み

・安定した精密成形を実現する「V-LINE(R)」方式の優位性

 一般的な射出成形機では、可塑化部と射出部が同軸上に一体構造となる「インライン方式」が採用されている。一方、ソディックは、可塑化のみを行う可塑化部と計量・射出を行う射出部を分離した構造となる「V-LINE(R)」方式を独自に開発し、正確で再現性の高い精密成形を極めることで、可塑化・計量・射出の優れた安定性を実現している。V-LINE(R)方式が分離構造であるがゆえに、不活性ガスを射出プランジャに直接注入することが可能となり、その高度な制御が精密に行える。

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