日鉄エンジニアリング、高知県室戸岬沖地区表層型浮魚礁「黒牧16号・19号」を受注、受注累計50基達成

 日鉄エンジニアリング(本社:東京都品川区)は10月15日、室戸岬沖地区における水産環境整備工事向けの表層型浮魚礁※「黒牧16号」と「黒牧19号」を受注したと発表した。これまでにも高知県のほか、宮崎県・神奈川県・徳島県・静岡県に設置しており、日鉄エンジニアリング「表層型浮魚礁」は、受注累計50基を達成した。

 今回受注した表層型浮魚礁は、高知県水産振興部がマグロ・カツオ・シイラなど回遊性魚類を対象とした漁場の造成を目的としたもので、平成21年度(2009年度)に室戸岬沖・平成22年度(2010年度)に甲浦沖に、それぞれ設置された表層型浮魚礁「土佐黒潮牧場16号」・「土佐黒潮牧場19号」の更新となる。

 日鉄エンジニアリングは、国内初の表層型鋼製浮魚礁「黒潮牧場1号」(昭和59年度(1984年度)高知県沖合水深550mに設置)の開発段階から携わり、マリノフォーラム21(産官学連携の水産関係団体)「浮魚礁システム研究会」(活動期間昭和61年(1986年)~平成4年(1992年))での浮魚礁の基本設計の研究や実証試験に参画してきた。以来、海洋での設計・施工方法の改善に取り組み、高知県のほか宮崎県・神奈川県・徳島県・静岡県でも実績を重ねている。日鉄エンジニアリングの浮魚礁は、1,000m超の大水深にも設置され、長期安定稼働であり、我が国の水産業の発展に大きく貢献してきた。

 また、これまで配置された表層型浮魚礁の中には、海洋にて気象海象データを計測し、土佐黒潮牧場監視システム(400MHz帯無線監視システム)を介し、定期的に陸上の監視局へ送信する設備を搭載されたものもあり、高知県の漁海況情報システムの基礎データとして活用され、ホームページ上で公開する事により、漁業者の操業効率化に役立っている。

 同じ水産業への取り組みとして、農林水産省の補助金事業『「知」の集積と活用の場による研究開発モデル事業』に採択された「大規模沖合養殖システム」は、AIやIoTなどの最新の技術と日鉄エンジニアリングのエンジニアリング力ならびに鋼構造技術を組み合わせ、社会実装に向け日々研究開発を進めている。

 日鉄エンジニアリングは、石油・ガス開発生産用の海底油田プラットフォームの設計・製作・施工などで長年培ってきた鋼構造物の製作・施工技術・ノウハウを応用し、浮魚礁の設計・製作・沖合施工(既設浮魚礁の回収・新規設置)までを一貫して請け負う「ワンストップサービス」を引き続き提供し続けていく。

※ 表層型浮魚礁は、回遊魚(マグロ・カツオ・シイラなど)が、海洋の漂流物に集まる習性を利用し、魚類の蝟集・滞留・誘導を図る浮体式構造物です。蝟集する魚類が多く、漁獲効率が良いため、漁業者のニーズが高いのが特長。浮体が常に海面上にあるため、位置の特定・利用が容易であり、また海況データを連続的に収集・発信できるため、漁業活動や航行船舶安全性の面で優れている。

<高知県(室戸岬沖地区)表層型浮魚礁「黒牧16号・黒牧19号」の概要>

1.設置位置(添付位置図参照:ニュースリリース)

名称:黒牧16号 黒牧19号

設置場所:高知県 室戸市 室戸岬沖 高知県 安芸郡東洋町 甲浦沖

設置水深:755m 1,160m

2.設備概要(黒牧16号・黒牧19号の公告仕様による)

① 型式:表層型浮魚礁(鋼製円盤型)

② 浮体寸法:Φ9.0m×本体高10.5m(黒牧16号)、Φ10.0m×本体高10.6m(黒牧19号)

③ 係留方式:一点緩係留方式

④ アンカー:ダンフォース型アンカー

⑤ 搭載機器:レーダーレフレクタ、標識灯、灯火用電源、灯火・位置・電源監視システム、監視・観測システム電池、等

 画像:【浮魚礁イメージ写真】沖合設置後

 ニュースリリース